三菱自がインドネシアに投入する新型SUV「デスティネーター」

三菱自動車は27日、2026年3月期の連結純利益が前期比76%減の100億円にとどまる見通しだと発表した。2%減の400億円とした従来予想から300億円下方修正した。米国で値上げなどが遅れ、関税の影響が増える。東南アジアでの販売競争の激化やインフレによるコスト増加も響く。

売上高は前期比3%増の2兆8600億円、営業利益は50%減の700億円の見通し。それぞれ従来予想から900億円、300億円引き下げた。純利益の市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は5%増の431億円で大幅に下回った。

7月23日に日米政府は米国の自動車関税を15%に引き下げることで合意した。翌日に25年4〜6月期の決算発表をした三菱自は関税影響の算定に時間がかかるとして、通期予想の修正を見送っていた。

米国での関税影響は従来予想の300億円から20億円増える。関税が10月から下がる前提で試算した。関税影響を吸収するための値上げが進んでおらず、インセンティブ(販売奨励金)も想定ほど抑えられないため実質的な影響額が増える。

同日、加藤隆雄社長は「関税率が15%に下がり、追加で値上げする対応策がとりにくくなる」と述べた。

下方修正の大きな要因となったのは東南アジアや豪州での販売不振とインフレによるコスト増だ。

世界全体の販売台数は前期比3%増の86万9000台で、従来から9000台減る見通し。欧州で1万1000台、豪州・ニュージーランドで3000台、東南アジア諸国連合(ASEAN)で2000台下振れる。

ベトナムやタイで消費を喚起するために値下げ競争が激しくなり、台数を維持するための販売費がかさむ。こうした米国以外での間接的な関税影響額は100億円から290億円に増える。

インフレや為替変動による資材の調達コスト増も営業益ベースで210億円の下振れ要因となる。

巻き返しに向けては新型車の売れ行きが焦点となる。

三菱自は7月、多目的スポーツ車(SUV)「デスティネーター」をインドネシアで発売し、受注台数目標を前倒しで達成した。現地価格は3億8500万ルピア(約350万円)で、トヨタ自動車の競合車種より価格を抑え拡販する。

日本は4〜6月の販売台数が前年同期比2割増と好調だ。人気車種の軽自動車「デリカミニ」の新型車を秋にも発売する。加藤社長は「新型車の出だしは非常に好調だ。新型車で販売をてこ入れしていきたい」と話した。

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