新潟県の東京電力柏崎刈羽原子力発電所の(左から)5号機、6号機、7号機

東京電力ホールディングスは19日、柏崎刈羽原子力発電所6号機(新潟県)の再稼働日を当初予定の20日から延期すると明らかにした。燃料の核分裂を抑える制御棒の異常を知らせる警報器で不具合が発生し、安全確認に1〜2日かかる。原子力規制委員会が問題ないと判断すれば、早ければ週内にも再稼働する見通しだ。

6号機内には核分裂を抑える制御棒が205本あり、2本ずつペアで動かせる仕組みになっている。本来は誤ってペア以外の制御棒を抜こうとすると警報が出る仕組みだったが、設定ミスで警報が出ない場所があった。ペア以外の制御棒が抜けてしまうと、原子炉温度が想定以上に上昇する恐れがある。

設定ミスは1996年運転時から

約2万通りのペアのうち、88パターンで設定の誤りが見つかった。東電の説明によると、警報はメーカーがプラント建設時に設定していたという。1996年の営業運転以降、警報が作動しない状態だった。

東電の担当者は「作業員が手順にもとづいて制御棒を操作しており、(警報の不具合は)安全上重大な事象ではない」と説明した。東電はすでに誤りのあった警報の設定を見直し、1〜2日かけて全制御棒で適切に警報が出るかを1パターンずつ確かめる。

原子力規制庁の幹部は「変更した警報の設定がうまく機能するかどうか、現地で確認する必要がある」との見方を示した。実際に原子炉を起動するためには、東電自身による設備の点検を踏まえた原子力規制委による承認を受ける必要がある。

過去には不適切事案で運転禁止も

原発は原子炉を起動させた後、発電をしながら発電所の冷却設備や配管の漏れなど約1カ月間かけて検査する。再稼働の時期は21日以降になる見通しで、その後の検査工程にも遅れが生じる公算が大きい。

柏崎刈羽原発の再稼働はこれまでも延期が続いてきた。同原発は2017年末に国が福島原発事故後に定めた新規制基準に合格したが、20年以降に社員によるIDカードの不正利用などテロ対策の不備が相次ぎ判明した。21年には原子力規制委が事実上の運転禁止命令を出して再稼働プロセスが頓挫した。

禁止命令は23年末に解除されたが、地元の東電に対する不信感は根強い。新潟県は25年12月に同原発6、7号機の再稼働を認めるとした際も、東電に安全最優先の取り組みなどを求める要請書を提出した。

今回のトラブルは不適切事案ではないが、原発の安全対策に直結する。14年ぶりの設備稼働となるなか、より慎重な対応が求められる。

【関連記事】

  • ・柏崎刈羽原発、20日再稼働を延期へ 試験中の制御棒ミス響く
  • ・柏崎刈羽原発6号機で試験中に不具合 東電、再稼働への影響「調査中」
  • ・混乱絶えぬ電事連会長人事 再稼働機運下の浜岡原発不正「痛恨の極み」
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。