地方自治体が個別に開発してきた業務システムを標準化し、国の用意するクラウド環境「ガバメントクラウド(ガバクラ)」上に移すプロジェクトが迷走している。減るはずの経費が逆に増える自治体が続出。9割超は米アマゾンの提供するガバクラを使う見通しで、外資依存のリスクもある。また、3月末の移行期限に4割は間に合わない状況だ。
- 【そもそも解説】自治体システム標準化、何のため? ガバクラとは?
- 【詳報①】菅首相が号令、期限ありきの標準化 いらだつ自治体、最初から無理筋
- 【詳報②完】日本国民の重要情報、米国企業のガバクラに 米政府の影響排除できず
全国の自治体はこれまで、業務に使うシステムをばらばらに開発してきた。2021年の標準化法で、国の決めた仕様に沿って標準化されたシステムに移るよう、全1788自治体が義務づけられた。対象は、住民基本台帳、国民年金、選挙人名簿管理、生活保護、固定資産税、児童手当など20業務。

仕様にもとづき、自治体がシステム開発を業者に発注する。自治体は制度変更のたびに自分で仕様をつくり直す必要がなくなり、業務削減につながるというのが売りだ。
システム移行は義務だが、移行後にシステムをどんな環境で動かすかは自治体に任されている。ただ、国はガバクラ利用を条件に移行の経費を補助することにし、ガバクラを使うよう誘導してきた。
国はガバクラを使うと運用経費を3割削減できると強調する。だが、運用経費は以前より増えると訴える自治体が続出している。国はもともと、移行にかかるお金として自治体に補助金を7741億円出した。批判を受け、運用経費も補助することにし、昨年末の補正予算に補助金700億円を計上した。

また、ガバクラを利用中か、利用を決めた自治体は、昨年9月末時点で1397ある。その96.4%(1347自治体)は、国がガバクラとして認めた米アマゾンのクラウドサービスAWSを選んだ。残る3.6%も米国事業者。米国政府は裁判所の令状があれば、米国の事業者に対して、米国外に保存する非米国人の情報の開示を求めることができる。
昨年10月末のデジタル庁の集計によると、期限に移行が1業務でも間に合わないと申告した自治体は、昨年7月末から100増えて743(全体の41.6%)になった。移行できなくても罰則はない。理由は「人手不足」が最多で699自治体だった。
- 【詳報①】菅首相が号令、期限ありきの標準化 いらだつ自治体、最初から無理筋
- 【詳報②完】日本国民の重要情報、米国企業のガバクラに 米政府の影響排除できず
- 【そもそも解説】自治体システム標準化、何のため? ガバクラとは?
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。