企業などが作成する契約書を生成人工知能(AI)で簡単に事前チェックできるサービス「Lawfree(ローフリー)」を、京都大発のスタートアップで非営利型の一般社団法人「法とAI研究所」が開発し、20日に正式運用を始めた。月に3回まで無料、5回まで980円、100回まで9800円と安価に利用できる。設立直後の大学発スタートアップなど、契約書に関する知識や専門家に依頼する資金力が乏しい起業家への支援になることが期待される。
京大の成長戦略本部参事で、産学連携の法務を担当する京都アカデミア法律事務所代表の宝光井(ほうこうい)英彦弁護士が生成AIにプロンプト(指示)し、企業法務弁護士レベルの品質に開発した。宝光井氏が代表理事の「法とAI研究所」が運営する。
その理事でもある羽深(はぶか)宏樹・京大大学院法学研究科特任教授の指導で、契約書データは運営者が技術的に見ることができず、利用者が結果をダウンロードした後はAIの回答も含めてサーバーから消去され、AIの機会学習にも利用されないセキュリティーを徹底しているという。
利用者は契約書のワードファイルをドラッグ&ドロップし、「買主」「売主」といった立場を入力するだけだ。契約書で典型的なリスクを検知し、問題点を指摘して修正案を示し、解説コメントも付いた回答が3分程度で返される。記載されていた内容だけでなく、本来は必要なのに書かれていないこともチェック。英文にも対応する。
「ローフリー」の名には、契約書の細かいチェック作業から人間を「解放」し、事業者を法務リスクから守る意味を込めた。AIによる生産性向上の恩恵を誰もが受けられるよう低価格にしたという。
日本では大学発のスタートアップが不利な契約書を交わすことが多く、それゆえに事業が失敗することもある。こうした問題が開発の背景にあり、スタートアップ向けのモードを設定。共同研究・受託研究・ライセンスなどの産学連携契約で知的財産や研究発表の自由といった「大学の権利」を保護する学術・研究機関モードも設定した。
2025年12月から先行利用が始まり、すでに京大の他に国立を含む3大学、東証プライム上場企業なども導入しているという。
宝光井氏は「大学やスタートアップなどが契約で損をしないようにして、新しい知の社会実装に貢献したい」と語る。また、「企業の法務担当者や弁護士の仕事を奪うと懸念されるかもしれないが、AIで一次的なリスクチェックができることで、より高度な業務に集中してもらえる。むしろそういう人たちが一番使いやすい」とも話した。
利用や詳細はウェブサイトから。【太田裕之】
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