東電の小早川社長㊧は事業提携の成否が今後の収益力向上のカギと強調した(26日、東京都千代田区)

東京電力ホールディングスが新たな経営再建計画を公表した。外部から成長資金を呼び込み、収益力を向上するため、提携相手を公募する方針を新たに示した。

2011年に事故を起こした福島第1原子力発電所の廃炉・賠償や電力安定供給という責務を果たすため、新計画に不退転の決意で臨まなければならない。

政府の認定を受けた「総合特別事業計画」は国や銀行からの支援の前提条件になる。5年ぶりに作り直した第5次計画は、23.4兆円に上る事故対応費用の総額や、東電が毎年5千億円を支払うという既存の枠組みを維持した。

昨年末に地元同意を得た新潟県の柏崎刈羽原発6号機を25年度内、7号機は29年度に再稼働する想定とした。1基動けば年1千億円の収支改善につながる。順調に進めば、安全対策投資が先行して赤字続きだった純現金収支は27年度以降、黒字に転じる見通しだ。

ただ今後は福島第1原発で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業が本格化し、また人工知能(AI)の普及に伴う電力需要増で設備増強も迫られる。それらの費用を捻出するには、一段の経営改革が避けて通れない。

当面の資金確保策は合理化の深掘りだ。3年以内に2千億円の資産を売却し、今後10年で3.1兆円のコスト削減にも取り組む。

そのうえで事業提携の実現が資金確保のカギを握る。データセンターや脱炭素分野などを想定し、事業会社や投資ファンドから早期に提案を募る。小早川智明社長は「必要があれば企業の形を変えていく」と述べ、外部資本の受け入れに伴う抜本的な組織再編もいとわない考えを示した。

ただ提携は従来も試みたが、中部電力と火力発電部門を統合したJERA以外に成果は乏しい。

東電管内の首都圏は国内の電力需要の3割を占める日本経済の心臓部である。福島復興の重い責任を果たしつつ、日本の産業競争力を維持するためにも、これ以上の足踏みは許されない。

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