「十日市こども食堂おてらごはん」の台所に集まるスタッフや利用者=広島市中区で2026年1月31日午前11時45分、武市智菜実撮影

 子どもたちに無料や安価で食事を提供する子ども食堂は、地域の欠かせないインフラになっている。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると、2025年度には全国の1万2601カ所で運営され、この4年で倍増した。長引く物価高の影響は、子どもたちの暮らしを支える現場にも及んでいる。

 広島市中区の「十日市こども食堂おてらごはん」は毎月1回、子どもや保護者らに食事を提供している。昨年、コメ価格高騰で農家や企業からの寄付が減り、一時的に高校生以上の参加費を100円値上げして400円にせざるをえなかった。

 それまでは毎回、40~50人の定員はすぐに埋まっていた。しかし、値上げしている期間は30人に満たない月が続いたという。渡部公友代表は「(生活が苦しい人にとって)100円の差は大きく、物価高が生活にものすごく影響していると感じた瞬間だった」と振り返る。

 「食材費や教育費は上がっているのに、給料は上がらない。生活費の負担が大きい……」。1月下旬にあったおてらごはんに参加した40代のシングルマザーの女性は、小学3年の長女と小学1年の長男が中華丼をほおばる姿を見守りながらそう語った。

 子どもたちには音楽や映画鑑賞などの体験をさせてあげたいが、経済的な理由で十分にできないという。「物価高で教育や体験の格差が広がるし、親から子どもに貧困が引き継がれてしまう。どの家庭も子育てしやすい環境作りを進めてほしいです」

 同市安佐南区の住宅街の一角にある子ども食堂「てらこや」では節分の日だった3日、授業を終えた近所の小学生ら約20人が集まり、恵方巻きやイワシ塩焼きなどが並ぶテーブルを囲んでいた。

 高校生以下は参加無料で無料の弁当配布も行っている。竹内智美代表は「最近は弁当を持ち帰る人が増えた。物価高で中間層の人たちも生活が大変になっていると感じる」と語る。

フードバンク「あいあいねっと」の原田佳子代表=広島市安佐北区で2026年2月4日午前11時15分、武市智菜実撮影

 同市安佐北区のフードバンク「あいあいねっと」は、企業や病院など約80事業者から食品提供を受けて、段ボールに詰めて生活が厳しい家庭に無償で送るなどしている。幅広い世代の生活困窮した人たちからSOSの連絡があり、幼い子どもが電話をかけてきたこともあったという。

 長引く物価高の影響で十分な食料の確保が難しくなっている一方で、支援を求める人は増え続けている。宅配便の料金値上げもあり、24年からは寄付金でまかなっていた約1000円の宅配料金を受け取る人の負担に変更せざるをえなかった。

 しかし、宅配料金を支払う余裕のない人たちからの依頼が大きく減って、支援が必要な人に食品が届かないケースが出てきたため、一部はスタッフが自家用車で宅配するなどの対応をとっている。原田佳子代表は「ギリギリで生活している人が増えていて、物価高をなんとかしてほしいのが切実な願い。私たち民間ボランティアができるのは一時的な対応にすぎず、行政のしっかりとした態勢が必要」と訴えた。【武市智菜実】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。