
千葉大学などの研究チームは、農地に設置した太陽光パネルの下で生育する農作物の影響を調べた。日光を遮るパネルの下ではサツマイモや大豆の収量が減った一方、水稲(もち米)は穂の数が減るものの、1粒が従来よりも大きく育ち、収穫量が維持されていた。太陽光パネルが日光を遮る日傘のように働き、高温による生育障害が抑えられた可能性がある。
太陽光発電は日当たりが良い土地が適している。そうした場所は農業にも向き、発電施設と立地を競合しやすい。太陽光の広がりによって食糧生産への影響が懸念されるなか、近年は農業と太陽光発電を両立させる「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」に注目が集まっている。
千葉大学や帯広畜産大学などの研究チームは千葉県の複数の農業法人と協力し、もち米や大豆、サツマイモを対象に太陽光パネルによる収穫量や作物の成長具合などへの影響を調べた。もち米の場合、水田の約3割を太陽光パネルで覆っても収穫量は大きく減少しなかった。1株あたりの穂の数は減ったが、もみの数や粒の大きさが増えていた。
気象データを解析すると、夏場の日中の最高水温が平均でセ氏2度ほど低下していた。近年は温暖化で暑い日が多く、高温による生育障害が報告されているが、太陽光パネルが日傘のような役目を果たして生育に良い効果を与えた可能性がある。
一方、大豆やサツマイモでは、太陽光パネルが農地の約3割を覆った場合、サツマイモの収穫量は4割減少、大豆の収穫量は3割減っていた。サツマイモの場合は、品種によっても影響が異なり、種類によっては収穫量を維持できていたという。
千葉大学の深野祐也准教授は今回の調査結果を受け「(ソーラーシェアリングは)うるち米でも同様な効果が期待できる」と話す。もっとも作物の収穫量は地域や年度によって大きく変動するため、今後は他の地域での生育影響を調べるほか、栽培に向いた品種や栽培方法などを検討する必要があるという。
研究成果をまとめた論文は農業・環境の学術誌「npjサステナブル・アグリカルチャー」に掲載された。
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