上場企業の好決算を織り込み株価は最高値圏に上昇している

上場企業の業績が堅調だ。期初に懸念された米関税政策の悪影響が和らぎ、世界で急拡大する人工知能(AI)関連需要を取り込み業績を伸ばす企業が増えている。

株式市場はすでに好業績を織り込んで日経平均株価は5万7000円台まで最高値を切り上げている。株高の今こそ、賃上げや投資増を加速させる力強い成長シナリオを示し、市場の期待に応えることがいっそう重要になる。

日本経済新聞社が東証プライム市場の3月期企業(約1千社)の2025年4〜12月期決算を集計した。全体の純利益は13日時点で44兆円と前年同期比6%増えた。26年3月期通期についても3カ月前までの減益予想から一転、2%程度の増益が見込まれる。5期連続の最高益更新が視野に入る。

関税の逆風を受けた製造業を非製造業が補う構図だ。ソフトバンクグループは出資先の米オープンAIの評価益を中心に4〜12月期に3兆円強を稼いだ。銀行の利益水準も高く、3メガバンクグループの純利益は計4.2兆円と全体の約1割を占める。

インフレを味方につけるかじ取りが必要な局面に入った。三井不動産は金利負担増をオフィス賃料や物件価格の上昇で吸収。鹿島は高止まりする資材価格や人件費の価格転嫁を進め、採算が改善した。いずれも最高益を見込み、決算発表後は株価が上がった。

製造業に目を転じると自動車の苦戦が続く。米関税による利益押し下げ額は4〜12月期に7社計で2兆円を超え、日産自動車など3社が最終赤字で4社が減益だった。中国発のデフレの余波で鉄鋼など素材関連の一部も低迷する。

半面、製造業においても裾野の広い企業を潤すのがAI関連需要だ。キオクシアホールディングスではAIサーバー向け半導体メモリーの販価が上昇して業績が急拡大、東芝から分離後の半導体の復調を印象づける。製造・検査装置や電線などの部材、データセンターの電気工事まで恩恵が広がる。

日本企業への期待値は上がっている。継続的な賃上げ、株主還元はむろん、M&A(合併・買収)による事業の組み替えなど株高を生かした成長戦略を急ぎたい。

防衛関連など高市早苗政権の経済安全保障の枠組み下での投資拡大に注目が集まるが、利益創出の主役はあくまで民間企業だ。100兆円超の手元資金を大胆に投資へ振り向けてほしい。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。