ボーイングが開発した宇宙船「スターライナー」(24年、南部フロリダ州)=ロイター

【ヒューストン=赤木俊介】米航空宇宙局(NASA)は19日、航空宇宙大手の米ボーイングが開発した宇宙船「スターライナー」の推進装置に重大な脆弱性があると指摘する報告書を公開した。スターライナーは2024年6月に国際宇宙センター(ISS)に向けて2人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられたが、安全性の観点から同年9月に無人で帰還していた。

スターライナーはISSに宇宙飛行士や物資を輸送する手段として開発された。24年6月、初めて飛行士を乗せてISSへ向かった。推進装置が正常に作動せず、ISSとのドッキングを試みた際に宇宙船が「6DoF(6軸自由度)」と呼ばれる機能で制御を失った。

搭乗飛行士はISSに9カ月ほど滞在し、25年3月に米スペースXの宇宙船で地球に帰還した。不具合に伴う犠牲者は出なかった。ただNASAはスターライナーの不具合について、爆発事故で地球への帰還が危ぶまれた70年の「アポロ13号」や86年と03年に発生した米有人宇宙船「スペースシャトル」の事故と同じ深刻度の「タイプA事故」に認定した。

NASAのアイザックマン長官は19日にNASAの職員に送付したメモをX(旧ツイッター)で公開した。「計画の構想から実行に至るまで間違いが発生していた」として、NASAの管理体制に不備があったと説明した。ボーイングが開発した推進装置の設計上の不完全な部分をNASAが正しく認識していなかったという。

アイザックマン氏はミスや不具合を速やかに認めなかったプロジェクト体制についても問題視した。その姿勢がミッションとクルーを不必要なリスクにさらしたと記した。

300ページ以上の報告書は独立した調査チームが25年11月にまとめた。NASAは連邦議会にも調査結果を報告する。NASAは早ければ26年3月にも有人で月周回を実施する「アルテミス2」を打ち上げる予定。同計画で使用される大型ロケット「SLS」の開発と製造にボーイングが参加している。

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