大阪府営住宅=大阪府提供

大阪府は子育て世帯向けに公営住宅の入居要件を緩和する。同居する子どもの年齢を小学校就学前から18歳以下に拡大し、収入基準の上限を引き上げる。中堅所得層向けの特定公共賃貸住宅(特公賃)は収入基準を下げるため規定の整備を進める。物価高騰で経済的負担が増している世帯を支援する狙い。    

24日開会の2月議会で府営住宅条例改正議案を提出する方針。可決されると公営住宅の入居資格の緩和は4月1日から施行される。

大阪府の総住宅数は2023年時点で492万8600戸あり、そのうち府営住宅(公営住宅と特公賃)は11万3742戸。府では、公営住宅が同条件の民間賃貸物件より2万〜5万円ほど安価な場合が多い。入居には子育て世帯、障害者世帯、高齢者世帯など区分ごとに定められた要件を満たす必要がある。

給与所得者の子育て世帯の場合、年度末時点で18歳以下の子どもがいて月収が原則15万8千円以下であれば申請ができる。子どもが小学校就学前であれば「裁量世帯」とみなされ、月収21万4千円まで申請が可能だ。

今回の条例改正で、裁量世帯についても子どもの要件が小学校就学前から18歳以下に広げる。同時に、月収の上限は法令の上限額である25万9千円に引き上げられる。府の推定で、入居を申請できる子育て世帯数は現行の4万世帯から6万世帯ほどに拡大する。

文部科学省による2023年度の子供の学習費調査によると、公立高校(全日制)に通う高校生1人あたりの1年間の学習費総額は59万7752円。18年度の調査の45万7380円から約14万円増額した。

大阪府は高校授業料の無償化に取り組むが、都道府県別の物価差を示した総務省の24年消費者物価地域差指数では教科書代、予備校など教育費にかかる物価指数が最も高かった。

府営住宅の入居倍率は立地などによって建物ごとにばらつきがあるものの、年6回の総合募集では定員を上回る応募がある。25年4月の募集では全体の募集数1049戸に対して5185件の応募があった。

ただ、子育て世帯に限ると近年は1倍前後で推移している。入居要件を緩和しても、優先的に選定されるべき低所得世帯などの入居には影響しない見込みだという。

併せて、特公賃は空き住戸を対象に入居要件を公営住宅と同等とし、低所得の子育て世帯も入居できるようにする方針だ。

特公賃は3LDKなど公営住宅と比べ面積が広い住戸が多いが、民間住宅との競合もあり空き家が目立つ。府都市整備部の担当者によると、特公賃の入居率は09年の平均9割から24年には6割まで落ち込んでいる。

子育て世帯への支援を目的とした住宅供給は全国的な課題だ。国交省は25年11月に発表した住生活基本計画(全国計画)の素案で、35年までに子育て世帯の優先入居を推進する都市再生機構(UR)の団地数を100カ所、住戸数を10万にすることを打ち出した。

東京都は総額200億円以上の官民連携ファンドを通じ、相場の2割安程度の家賃で住める賃貸住宅「アフォーダブル住宅」を供給する計画だ。供給戸数は26年度から毎年200戸ずつの計1200戸を見込む。

(佐藤優衣)

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