京王アリーナTOKYOで25年夏に開催されたeスポーツ大会
京王電鉄はeスポーツを通じた沿線活性化を目指し、大会誘致や運営ノウハウの蓄積を急いでいる。沿線にある大規模施設でのオフライン大会などを通じ、10〜30代中心に誘客を図る。28日にはeスポーツで先行する関西私鉄各社とも連携し、東西代表が対戦する大会も開催する。

京王電鉄と大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)、近畿日本鉄道、南海電気鉄道の4社は1月中旬、「鉄道eスポーツアライアンス」を設立すると発表した。eスポーツ人材の育成や宣伝広告などで協力する。

連携第1弾として、2月28日にポケモン(東京・港)の公式大会で小中学生の東西代表が対戦するイベントを南海電鉄と協力して催す。東京会場は京王電鉄が主催。同時に開くウインタートーナメントは優勝者が日本代表としてアジア大会への出場権を得る。

京王電鉄でeスポーツを担当するデジタル戦略推進部の田中遼課長は「eスポーツのオフライン大会(実地での対戦形式)はびっくりするくらい盛り上がる」と語る。eスポーツは自宅など場所を選ばず、コンピューター設備と通信環境があればできることが魅力。今では遊ぶだけでなく、eスポーツのプロチーム選手を応援する「推し活」目的のファンもいる。

京王電鉄が2025年夏に沿線の京王アリーナTOKYO(東京都調布市)で開いたオフラインのeスポーツ大会では約5000人が来場。平均7000円ほどのチケットはほぼ完売した。来場者の中心は10〜30代で、アリーナに隣接する味の素スタジアムで開くJリーグの試合観戦者と比べても客層が若くなったという。

京王電鉄がeスポーツに取り組み始めたのは、22年の沿線活性化アイデアを募るオープンイノベーションプログラムにeスポーツ企業を採択したことがきっかけだ。沿線に持つ不動産を生かしながら、リーチできていなかった若年層をつかめると判断した。

まず沿線の調布駅(調布市)や笹塚駅(東京・渋谷)近郊にeスポーツの体験やプロらに学べる教室を開いた。プログラミングなどを小中学生が学べるコンテンツも用意した。

一般社団法人の日本eスポーツ協会(同・中央)によると、25年の国内市場規模は前の年に比べ16%増の199億円だったと推計する。試合を観戦したり、配信動画を視聴したりしたことがあるファンも25年には1000万人を超えたとみる。

eスポーツはスポンサーやイベント運営が市場規模の大半を占める。多くの大会はゲームコンテンツメーカーがスポンサーになっている。京王電鉄が手がけるイベントも「放映権やチケット販売でマネタイズできていない」(田中課長)。

とはいえ、メーカーコンテンツの垣根を越えて沿線施設でオフライン大会を定期的に開催できれば、関係人口の増加にもつながる。田中課長は「いずれは京王沿線が世界大会を開催する選択肢として国内外に認知されるように実績を重ねていきたい」と夢を描いていた。

(鷲田智憲)

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