三菱グループの代表格である三菱商事の洋上風力発電計画からの撤退は、波紋を広げている

三菱商事と中部電力が、千葉県沖と秋田県沖の3海域で進めていた洋上風力発電計画からの撤退を発表しました。政府が日本で初めて大型洋上風力の開発案件の公募を実施して運営事業者を募り、三菱商事連合が2021年12月24日に落札していました。競合よりも破格な安さで受注につなげましたが、インフレに伴う建設費の高騰で採算が合わなくなり撤退を決めました。

第1弾のプロジェクトからの事業者撤退は、日本の洋上風力導入に遅れをもたらし、再生可能エネルギーを主力電源に育てる政府の計画や風車のサプライチェーン(供給網)育成にも打撃となります。日本の近代化を支えてきた三菱グループの代表格である三菱商事の撤退の決断は波紋を広げています。関連記事をまとめました。

三菱商事連合、国内3海域の洋上風力撤退 国の再生エネ戦略岐路

三菱商事と中部電力が、千葉県と秋田県沖の3海域で進める洋上風力発電所の建設計画から撤退を決めました。オランダの電力子会社のノウハウを活用し「価格破壊」といわれた最安値で応札して受注を総取りしたものの、有言実行できませんでした。

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千葉県や秋田県など地元自治体に衝撃

千葉県庁を訪れ、熊谷俊人知事(右)に洋上風力発電所建設計画からの撤退を陳謝した三菱商事の中西勝也社長=28日午前

大型の洋上風力の開発・運営を通じた地域活性化を期待していた千葉県や秋田県などの地元自治体は、三菱商事連合の撤退の知らせに衝撃を受けています。

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洋上風力導入に遅れ、国の再生エネ戦略にも影響

三菱商事の中西勝也社長(左)と経済産業省で面談した武藤容治経産相(右)=27日午後

政府が2月に閣議決定したエネルギー基本計画は、発電電源に占める風力発電の割合を現在の1%から、40年度に4~8%まで伸ばす方針を示しています。三菱商事連合の撤退で洋上風力の導入は遅れるのは必至です。

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洋上風力、重い建設コスト 現実に直視を

三菱商事連合の計画については落札当時から実現を疑問視する声が上がっていました。官民が洋上風力の建設コスト負担の重さを見誤り、導入の大幅な遅れを招く結果となりました。持続的な洋上風力インフラを普及するには、政府も国民も脱炭素がコストのかかる戦略なのだという現実から目を背けず、制度のあり方を問う必要があります。

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