海運の要衝ホルムズ海峡=2023年12月10日、ロイター

 米国とイスラエルによるイランへの攻撃で、原油調達のほとんどを中東に頼る日本への影響が懸念されている。国内には約8カ月分の石油備蓄があり、石油元売り各社は「当面の供給は問題ない」と強調する。主に火力発電に使う液化天然ガス(LNG)の中東依存度は1割程度で石油より調達先の多角化が進んでいる。ただ、LNGは在庫が3週間分程度とされ、電力大手からは、輸送の停滞が長引けば「4月以降は影響が出る可能性もある」との指摘も出ている。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、2025年の原油に占める中東地域の割合は94%だった。アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、クウェートの順だ。政府はエネルギー安全保障の観点から、ロシア産原油の輸入を減らしており、むしろ中東地域の依存度は高まっている。

 ただ、同庁によると、昨年末時点で石油の備蓄量は国家備蓄が146日分、民間は101日分。サウジアラビアなどの国営石油会社に日本国内のタンクを貸し、原油を貯蔵する「産油国共同備蓄」は7日分で、計254日分ある。このため、出光興産とENEOSホールディングス(HD)やコスモエネルギーHDの石油元売り3社は、備蓄や在庫により当面の供給面に問題はないとする。

ホルムズ海峡

 一方、国内のLNG在庫についてエネ庁は「現在、約3週間分の在庫がある」と説明している。国内ガス大手広報はLNGタンクの残量によって在庫状況が変化するため、「在庫は1週間強から2週間程度と幅がある」と懸念を示す。

 火力発電国内最大手JERA(ジェラ)は、調達量の約1割に当たる年間150万トン(24年度実績)のLNGを中東から調達している。同社広報によると3月までは問題ないが、4月以降は「(問題が)深刻化すれば影響が出る可能性はある」と話す。中東から調達する他の電力会社も比率は5~10%程度と低いため、豪州など他の国から代替調達するなど機動的な対応で安定供給を確保する方針だ。

 価格への影響はどうか。今回の米国の軍事行動を受け、原油先物価格は2日、指標となる米国産標準油種(WTI)で一時、前週末から7ドル超上昇し、1バレル=75ドル台を付けた。

 原油市場に詳しいエネルギー経済研究所中東研究センターの深沢幸治研究主幹は「原油価格は上昇したが、楽観的なものから悲観的な見通しの平均値を取ると、影響は2~3週間程度で収束する」と分析。トランプ米大統領は原油価格の引き下げを重要政策に掲げており、「ホルムズ海峡が封鎖されても、通行できるような措置を講じていくと考えれば、価格は極端に上がらない」と述べ、価格に大きな影響が生じるのは「影響が1カ月以上長期化した場合だ」と指摘した。【中島昭浩】

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