桐(きり)の専用箱に入る「THE ZEBRA」=東京都新宿区で2026年3月12日、嶋田夕子撮影
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 筆記具メーカーの「ゼブラ」(東京都新宿区)が4日に発売した高級ボールペンブランド「THE ZEBRA」が大きな話題を集めている。第1弾の「HAMON(ハモン)」は税込み5万9400円もするが、完売店が続出している状況だ。社名を冠し「創業から約130年の技術を結集した」というボールペンの実力を探った。

「シャーボ」の技術も応用

 「職人が手作業で仕上げるような国産ボールペンは大変珍しい。特に40代男性の人気が高く『指名買い』していく人も少なくない」。文具専門店「伊東屋」(東京都中央区)では全国の主要店舗とオンラインで「HAMON」を販売中だが、13日時点ですでに完売。入荷待ちの状態が続いているという。

 「HAMON」を実際に触ってみた。金属製なのにそれほど重さは感じず、手にしっくりと納まる。軸をひねるとペン先が出てくるが、あまりに動きがスムーズなため音はまったく聞こえない。

 「気になる『カチャ』という作業音がしないんです」とゼブラの広報担当者。内部にある作動メカの特別な構造で音を最小限にまで抑えた。回転式多機能ペン「シャーボ」(1977年発売)の技術を応用したという。

1本ずつ手作業で生産される「THE ZEBRA」の中芯=ゼブラ提供
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作れるのは1日に20本程度

 書き心地もなめらかだ。同社が認定した熟練の職人だけが中芯の組み立てやインクの注入など精密作業が許される。加工時に生じるペン先のわずかなゆがみが原因で、一般的なボールペンは新品時、なめらかに書けないことがある。これを新開発の技術「エイジングチップ」で解消し、書き出しからなめらかな筆感が得られる。

 本体は棒状の金属から、職人が手作業で1本ずつ削り出して作った特注品。一つ仕上げるのに1時間以上を費やすといい、1日20本程度しか作れない。クリップ周りに施された模様は水面に広がる「波紋」をデザイン。耐久性を高める特殊な加工も施した。

 「THE ZEBRA」の検討が始まったのは2022年末。筆記具は単なる事務用品ではなく、近年は嗜好(しこう)性が高まり、こだわりの逸品を求める消費者が増えている。こうした需要に応え、「日本の最高をつくる」をコンセプトに据えた。

10年間の保証などのアフターサービス

 課題になったのは価格だ。ポールペンの価格は通常100円程度。いくらまでなら買ってくれるか。悩んだ末、コストを惜しまない商品づくりを進めることにしたという。

売り場で「THE ZEBRA」の品切れを伝える東京・銀座の文具専門店「伊東屋」=東京都中央区で2026年3月13日、同社提供
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 1本約6万円もするが、購入後10年間の本体保証を付けるなどアフターサービスを充実させた。販売先も高級筆記具に詳しい販売員を配置する一部の文具店に限定した。

 発売後の反響は予想以上だった。初期入荷分の売り切れが続出した。販売を不安視していたゼブラはうれしい悲鳴を上げている。ゼブラの担当者は「100年使い続けてもらえたら」。

本体は銀、水藍、鋼の3色。替え芯は1430円となっている。【嶋田夕子】

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