「引っ越し業者に壁や家具に傷をつけられた」「事前説明なく当日に追加費用を請求された」
引っ越しがピークを迎える時期だが、こうしたトラブルが続いている。
国民生活センターによると引っ越しトラブルの相談は近年、増え続けている。どんな点に気をつければいいのだろうか。
養生なしで搬出の業者「覚えなし」
昨年7月に相談を寄せた近畿地方の30代女性は、賃貸マンションから引っ越しをした際、トラブルに見舞われた。
引っ越し業者には事前に「冷蔵庫などの大きな荷物は掃き出し窓から出してほしい」と伝えていた。
ところが業者は玄関から養生なしで搬出。床やドアなどに多数の傷がついていることに後で気がついた。
業者に申し出たが、担当者は「覚えがない」という。
あげくに「引っ越しで傷ができたとは限らない。初めから傷があったのでは」と返答され、対応に困って相談した。
トラックに載りきらず積み残し
関東地方に住む別の30代女性は昨年8月、インターネットの比較サイトで価格が安かった業者に依頼して引っ越しをした。
見積もりはオンラインで済まし、荷物の数は事前に申告。業者から「2トントラックで入るのでは」と提案されたが念のため、提案より大きなトラックを指定した。
しかし当日、荷物が載りきらず、「これ以上、入らない」と搬出作業が終了。残った分は自分で運ぶはめになった。
このほか、業者からエアコンの脱着作業に関する詳しい事前説明がなく、当日に追加料金を請求されたというケースもあった。
見積もり時に業者が段ボールを置いていったが、その業者と契約しなかったところ、段ボールを自己負担で返送するよう要求されたという相談も目立つという。
相談件数は4年連続で増加も?
国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた引っ越しトラブルに関する相談は、2025年度は2月末までに2118件に上っている。前年の同時期(1904件)を上回るペースだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で途絶えた人手が戻り始めた22年度以降、24年度まで3年連続で相談が増えており、25年度も増加が続くと見込まれている。
相談内容で最も多いのは、作業で部屋や荷物に傷が付いたり、紛失されたりした場合の「補償」で全体の47%を占めた。
写真や動画で作業前後の記録を
部屋や荷物などに損傷が出た場合、どう対応すればいいのか。
引っ越し契約の指針となる国土交通省の「標準引越運送約款」では、荷物の受け取りから引き渡しまでの間に、荷物やその他のものに損傷などがあった場合、業者は注意を怠らなかったことを証明しない限り、損害賠償責任を負うとされている。
ただし、荷物の引き渡しから3カ月以内に業者に申し出る必要がある。
国民生活センターは、損傷があるかすぐ確認できるように、作業の前後の状況について写真や動画で記録することを勧めている。
また、オンラインや電話での見積もりは便利な半面、慎重さも必要だ。
当日になって荷物が積みきれないなどのトラブルを避けるため、センターは荷物の量や搬入経路など必要な情報を正確に伝えるよう注意を促している。不安な場合は、訪問による見積もりも検討するよう呼びかける。
エアコンの脱着やピアノの運搬といった付帯サービス、契約締結前の段ボールの返送方法などについても、事前に費用などを確認しておくとトラブルになりにくい。
担当者は「できるだけ余裕を持って契約や見積もり時の書類を確認し、不明点や疑問点は業者に事前に聞くようにしてほしい」と呼びかけている。【岡田英】
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