ガソリンスタンドの給油機=東京都内で2022年1月、米田堅持撮影

 中東での紛争激化への懸念を背景に、30日のニューヨーク原油先物市場は3営業日続伸し、指標となる米国産標準油種(WTI)の5月渡しは前週末比3・24ドル(3・25%)高の1バレル=102・88ドルで取引を終えた。終値としては2022年7月以来、約3年8カ月ぶりに100ドルを上回った。日本時間31日には一時106ドル台を付けた。

 原油価格100ドル超は、世界経済の停滞が懸念される水準として市場で意識されている。米イスラエルのイラン攻撃から1カ月が経過しても、原油輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖は解消していない。事態収束が依然として見通せない状況に市場関係者の不安は増している。

 イエメンの親イラン武装組織フーシ派は28日、イスラエルに向けてミサイルを発射したと発表。戦闘への参戦を表明し、イランなどへの攻撃が収まるまで「作戦を継続する」とした。市場では、紅海とアラビア海をつなぐ海上の要衝バベルマンデブ海峡が通れなくなり、原油供給の混乱に拍車がかかる事態への警戒感が広がった。

 29日にはトランプ米大統領が英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで「(イランの)石油を奪うことが望ましい」と述べ、原油取引の拠点カーグ島の占拠検討を明らかにした。翌30日には自身のソーシャルメディアで、早期のホルムズ海峡の航行再開などが実現しなかった場合、イランの発電所や油井、カーグ島を「爆破する」と強硬姿勢を示した。イラン側も対抗姿勢を崩しておらず、交戦激化が懸念されている。

 イラン攻撃前のWTIは1バレル=60ドル台で推移していたが、中東情勢の緊迫化で急騰し、日本時間9日には一時119ドル台を付けた。国際エネルギー機関(IEA)が過去最大の石油備蓄の協調放出を決めるなど、市場の流通量を増やすことで価格抑制を図る取り組みを実施。80~90ドル台で推移してきたが、紛争が長期化する中で100ドル台に水準が切り上がりつつある。

 原油価格高騰は、ガソリンなどの燃料費や原材料価格の上昇を通じ、広範な物価上昇(インフレ)を招く。長期化すると個人消費が低迷し、世界経済が停滞するリスクが指摘されている。【ワシントン浅川大樹】

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