伊藤忠商事の入社式で新入社員を激励する石井敬太社長(1日、東京都港区)

大手総合商社は1日、入社式を開きそれぞれ社長が新入社員を激励した。世界情勢の変化や生成AI(人工知能)の急速な進展などを踏まえ、新入社員に対して人こそが価値の源泉として誠実さや考える姿勢を求める発言が目立った。

伊藤忠商事は1日午前、東京都内で入社式を開いた。今夏以降予定する本社建て替えに伴い、現本社で実施する最後の入社式となった。会場には約600本の桜を用意し、新入社員151人の門出を祝った。

石井敬太社長は「この場所で一人ひとりの社員が歯を食いしばり、無数の使命を果たしてきた。歴史を知ることで学べることもたくさんある」と話した。式後半では生成AIを活用し新入社員全員を30年後の姿に成長させた動画を流した。

三井物産が都内で開いた入社式には新入社員129人が参加した。堀健一社長は「五感と創造力を総動員して本質を見極める姿勢こそが人間にしか生み出せない価値の源泉」とし、様々な情勢変化について「『なぜそうなるか』『自分の業務はどう向き合うべきか』と問いを立てると見える景色が変わる」と話した。

新入社員との質疑に応じる三菱商事の中西勝也社長㊧(1日、東京都千代田区)

各社の社長からはAIに関する発言も多かった。三菱商事の入社式で中西勝也社長は「意思決定の支援までAIが担う領域が広がっている」と語った。新入社員に対しても「考えることをAIに委ねるのはリスクだ。AIに頼り切りになるのではなく、自分自身で納得するまで考える姿勢を大事にしてほしい」と語った。

3月にシステム開発大手のSCSKを完全子会社化した住友商事の上野真吾社長は「デジタル・AIで稼ぐ商社に進化していく」と語った。「AIが競争力の源泉」とし、新入社員に「デジタルが当たり前の環境に身を置いてきた価値観や感性がかけがえのない力になる」と話した。

入社式で話す住友商事の上野真吾社長(1日、東京都千代田区)

同社の入社式では、スピードスケートの高木美帆さんが講演した。高木さんは「知識や技術を習得するには時間がかかる。成果が出なくても、毎日質の高い時間を過ごせたかで蓄積は大きく変わる」と選手人生を振り返った。新入社員には「つらい時こそどんな時間を過ごせるかで、数年後の姿が変わる」と激励した。

丸紅の大本晶之社長は時価総額10兆円超の目標を25年度に前倒しで達成したことに触れ、「新入社員にも果敢に世界の高み、想像できる以上の自分を目指してまい進してほしい」と話し、基本に忠実であることや周囲の人たちの経験から学ぶ姿勢の大切さを強調した。

双日の植村幸祐社長は「不確実性はもはや常態。新たな価値創出を目指す中でも、変わらないのは『人』こそがその源泉」として知的好奇心を持ち続けることや先回りして考え、動くことなどを新入社員に求めた。

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