皆さんは生成AI(人工知能)をどう活用していますか。先日、AIデータセンターについて調べてみたところ、知りたかった電力消費量や固定資産の償却期間などについてたちどころに回答が得られ、見立ての確からしさと速さに感心しました。
Chat(チャット)GPTが登場してまだ3年ほどですが、ライバルも急速に成長し、もはや一強ではなくなっているようです。「当たり前」があっという間に通用しなくなり、賞味期間が短くなる――。商社のビジネスもこうした変化と無縁でないと感じる場面が増えています。
一方で、変化に身を任せるだけでは心もとありません。特に当社は6年ほどで連結純利益を倍増させる目標を立てており、こうした非連続的な成長を実現するにはこれまで当然だったことに疑問を持ち、自らの意志で変えていくことが重要だと考えています。

最近の当社の動きでは、オーストラリアにおける取り組みが「当たり前」を変え、結果が形になりつつある事例だと感じています。以前は鉄鉱石や原料炭などの資源ビジネスが中心でしたが、この2〜3年のM&A(合併・買収)により道路、公共施設などのインフラ開発、さらに鉄道の運行・保守といったサービス提供まで事業領域が広がりました。
きっかけはトルコで官民パートナーシップ(PPP)方式の病院運営事業に参画したことです。かねてPPPによるインフラ事業の成長性や収益性に着目しており、トルコで得たノウハウをオーストラリアの病院運営事業に応用。続いて現地のインフラ開発大手を買収したことで知名度が高まり、事業が鉄道サービスへと拡大し、大型プロジェクトの開発機能を手に入れられました。
当社が中期経営計画で掲げている「点から線、線から面、面から塊」の実例ともいえ、新たな成長基盤を構築するアプローチでもあります。
かつて商社では「背番号」という考えが根強く、入社時にある営業部門に配属されると、その後のキャリアに強く影響しました。部門間の壁が高かったのですが、もはやそんな時代ではありません。以前の「当たり前」を変えることにより、新たな流れをつくることができたと自負しています。
こうした動きをさらに活発にするには、社員間のコミュニケーションを活性化することが欠かせません。4月から社員間でフィードバックを増やす取り組みを始めました。最近は社員に「個の強さ」を磨くように語りかける機会が多かったのですが、そこから一歩踏み出したいと考えています。
当然と思っていた前提を見直してみることで新たな発想が生まれ、窮屈な制約から解き放たれるのは企業だけではないはずです。個人にも社会にも同じことが当てはまるのではないでしょうか。皆さんが成長に向けて変えたい「当たり前」は何ですか。ぜひ、意見やアイデアを聞かせてください。
双日・植村幸祐社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちら(https://esf.nikkei.co.jp/future20260406/)から。編集委員から
取材時、植村社長に生成AIを業務で使っていますかと尋ねると冒頭のように回答し、「自分は理系だからね」と笑いながら付け加えた。経営者たるものアンテナを高く張り、テクノロジーの変化に敏感であるべし。こんな風に思いがちだが、残念ながら「積極活用派」が必ずしも主流ではないのが実情だ。
これはなにも経営者に限った話ではない。各種の国際比較調査によると、日本の企業、そして個人による生成AIの利用は海外に比べて総じて少ない。かつてのIT(情報技術)化やインターネット革命に続いてまた、後れを取りそうな状況になっている。
だが、世界は待ってくれない。特に生成AIの開発や応用には桁外れの規模の資金が流れ込み、未曽有の変化を起こす可能性が高まっている。こうした変化にのみ込まれるのではなく、変化を起こす側に回る。慣れ親しんだ「当たり前」を疑うのもその一歩になるはずだ。新年度のスタートはこんな気持ちの切り替えにふさわしい時期といえる。(編集委員 奥平和行)
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今回の課題は「成長するために、変えたい『当たり前』は何ですか?」です。420字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは14日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、27日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。
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