
週1回、ホテルの施設で放課後の小学生を受け入れる「学童ホテル」が今月から、神戸市垂水区のホテル「セトレ神戸・舞子」で始まる。ホテルならではの体験学習ができることが売り。家庭の経済事情による子供の「体験格差」を解消しようと、広島県の高校生が提案したアイデアが採用された。参加費無料で、全国でも珍しい取り組みという。
セトレの運営会社ホロニック(同市東灘区)が7月に設立した同名の一般社団法人が学童ホテルを運営する。同社では2022年度からアイデアコンペを勝ち抜いた学生を1年間のCFO(未来創造最高責任者)に任命しており、昨秋選ばれた広島県立叡智学園高3年、為積縁(ためづみえん)さん(17)のアイデアを実現したという。
毎週火曜が休館となるホテル別邸部分で、市内の小学3~6年生を受け入れる。結婚披露宴会場やスイートルームを開放し、調理やベッドメーキングなどの職業体験、地域の人脈を活用した楽器演奏などの体験学習を計画。シェフが作ったおやつの提供や保護者も参加できる夕食の「かぞく食堂」もある。費用は同社のほか今後募る協力企業やホテル宿泊者の寄付で賄う。

8月25、26日には体験会を開催。支配人によるテーブルマナー講習と地元のノリ漁業者によるロープワーク講習などがあり、オーシャンビューの建物に子供らの歓声が響いた。広島から駆け付けた為積さんは「子供の頃、習い事や旅行などで家庭ごとに格差があるのを実感した。ホテルの協力で、地域や子供を元気づけられればうれしい」と笑顔を見せた。
社団法人の代表理事を務める長田一郎・ホロニック社長(57)は「為積さんの提案は斬新だったが、我々の理想にも近いもの。ホテル運営の根本にある地域との結びつきにもつながる」と話し、将来的には全国にあるセトレで同様の展開を目指す考えを示した。
初年度の申し込みの締め切りは9月7日。学童ホテル(http://www.gakudohotel.or.jp/)。【稲生陽】
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