日本企業による資金調達を発表するCFSのボブ・マムガードCEO(3日午前、東京都千代田区)

三井物産や三菱商事など日本の企業連合12社が出資した核融合スタートアップの米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)が3日、都内で記者会見を開いた。登壇したボブ・マムガード最高経営責任者(CEO)は多様な企業からの出資を受けたことについて「核融合発電という新たな産業に向けてあらゆる分野のスキルが必要だ」と述べた。

マムガードCEOは「携わり始めた時から、日本は核融合のリーダー的存在だった」と振り返り「米国や欧州などにおける大規模核融合実験の主要な供給元となってきた」と話した。

CFSは2027年に実証炉の稼働を予定している。「既に65%、ほとんど70%は完成している」と進捗を説明した。

核融合発電は発電時に二酸化炭素(CO2)を出さず、脱炭素の次世代技術として注目されている。設備を建造すれば、「発電以外に排出するものはない」と利点を強調した。

CFSに出資した日本企業の代表者ら(3日午前、東京都千代田区)

記者会見にはCFSに出資した日本企業の幹部も登壇した。三井物産の内田康弘執行役員は「日本企業各社の事業開発やファイナンス、技術開発の経験をCFSの発展に還元し、双方向の成長につなげていく」と話した。三菱商事の平田智則執行役員は「日本でのエネルギー問題、安定供給や自給率向上に貢献したい」という。マムガードCEOは「日本が核融合発電所をつくると決めた際には協力したい」と語り、日本とのつながりも強化する。

CFSは米マサチューセッツ工科大学発のスタートアップで18年の設立。20億ドル(約2900億円)以上を調達しており、今回のコンソーシアムなどによる出資8億6300万ドルが加わった。

核融合発電は原子の核同士が融合する際に発生する膨大なエネルギーを発電に使う。燃料には海水に含まれる重水素などを使うため原料調達が容易で、原子力発電のような連鎖反応が起きにくいため事故のリスクが低い。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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