
流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンは4日、2025年の春季労使交渉の最終集計を発表した。パートの時給の賃上げ率は5.78%、賃上げ額は66.4円とともに12年の同団体結成後で過去最高だった。賃上げ率は正社員を10年連続で超え、雇用形態間の格差是正が進んでいる。
8月1日午前10時時点の妥結状況を集計した。正社員は1453組合、パートは416組合で妥結した。
正社員の賃金を一律で引き上げるベースアップ(ベア)は月額1万375円で、ベア率は3.30%と物価上昇率の約3%を超えた。定期昇給を含む賃上げ率は4.75%だった。UAゼンセンの永島智子会長は4日に開いた記者会見で「企業の増益基調などの背景もあるが、加盟組合が高い要求を掲げて賃上げ交渉を行った成果だ」と話した。
UAゼンセンが重点課題の一つとして掲げる中小企業の賃上げは、300人未満の組合でベアは8178円だった。ベア率は2.84%となった。前年と比較して350円上回っていることから一定の底上げは進んだものの、物価上昇率を下回り実質賃金の維持ができたとはいえない結果となった。
現在の経済状況が与える26年の春季労使交渉への影響について永島会長は「人手不足感などからも政労使ともに賃上げの流れを止めてはいけないという共通認識を持っている」とした上で「引き続き高い賃上げに向けて取り組みたい」と話した。
UAゼンセンは約2200の組合が加盟し、約190万人の組合員を抱える国内最大の産業別労組だ。組合員のうちパートや契約社員などの短時間組合員が6割を占めている。
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