
日本航空(JAL)の国際線の機長が8月下旬、乗務前に飲酒してハワイ発の3便が遅れた問題で、同社は4日に記者会見を開き、この機長が以前にも滞在先で複数回飲酒し、発覚を防ぐために検知器の設定日時を変更していたと明らかにした。同社では飲酒問題が相次ぎ、昨年12月以降は滞在先での飲酒を禁止していたが、機長はこのルールに違反していた。
JALによると、機長は64歳の男性。健康診断などの結果、過度な飲酒傾向のある要注意者として社内のリストに記載されていた。産業医との面談で飲酒を控えるよう指導され、機長は禁酒すると説明していたという。
機長は現地時間8月27日午前にホノルルに到着し、正午過ぎにホテルに入った。近くのコンビニで568ミリリットルの缶ビール(アルコール度数9・5%)を購入し、午後2時半までに3本飲んだ。社内調査には「ついつい飲んでしまった」と話しているという。
機長は28日の中部空港行きの便に乗務予定で、28日午後0時15分ごろにホテルを出る予定だった。機長は同日午前7時以降、約60回にわたって自主的にアルコール検査を実施。しかしホテルを出る時刻になっても微量のアルコールが検知され、機長は自ら会社に連絡して前日に飲酒したと申告した。
機長は自主的に実施した約60回の検査のうち十数回について、検知器の日時を自身の休日に変更していた。JALは、滞在先での飲酒の事実を隠蔽(いんぺい)しようとしたとみている。機長は過去にも10回ほど、自主検査の検知器の日時を変更したと説明しているという。
中川由起夫常務は記者会見で「約束を破ったことを非常に重く受け止めている。誠に申し訳ありません」と謝罪。機長を厳正に処分する考えを示した。
JALでは昨年4月、米国で機長が飲酒して騒ぐトラブルを起こし、羽田行きの便が欠航。同12月にはメルボルン発成田行きの便の機長らが飲酒して出発が遅れた。口裏を合わせて隠蔽しようとしていたことも判明した。
こうした相次ぐ飲酒問題を受け、JALは要注意者のリスト化や、滞在先でのパイロットの飲酒を禁じる再発防止策を定めていた。【木村敦彦】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。