
伊藤忠商事は5日、資金の使い道を女性活躍推進などジェンダー平等につながる取り組みに限定した社債「オレンジボンド」を発行すると発表した。発行額は152億円。伊藤忠によると日本企業がオレンジボンドを発行するのは初めて。調達資金は女性活躍推進に取り組む取引先からの調達拡大や自社の出産・育児支援などに充てる。
同日決定した発行条件は、年限は3年で利率は1.110%、国債利回りに対する上乗せ幅(スプレッド)は0.17%。11日に発行する。格付けは格付投資情報センター(R&I)から「ダブルA」、日本格付研究所(JCR)から「ダブルAプラス」を取得した。主幹事は大和証券などが務める。
調達資金の多くはサプライチェーン(供給網)上で女性が活躍する企業からの調達などに使う。グアテマラ子会社からのコーヒー豆調達が一例だ。仕入れ先である農家は生産者の女性比率が3割で同業他社に比べて高いという。このほか伊藤忠社員向けの出産や育児への支援にも充てる。不妊治療や託児所整備の費用などを想定する。
オレンジボンドの発行は調達先を広げて財務を安定させる狙いもある。ESG(環境・社会・企業統治)を重視する運用方針を持つ生損保業態などで、伊藤忠債を今回初めて購入した機関投資家がいた。
オレンジボンドはESG債の一種。海外では約10件の発行実績がある。ESG債には環境問題の解決を目的とした「グリーンボンド」や、海洋環境の保全を目指す「ブルーボンド」などがある。
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