清水建設が実施した震災訓練で社員らが帰宅困難者の受け入れ体制を整える様子(5日、東京都中央区)

清水建設は5日、東京都内の本社や全国の支店で首都直下地震を想定した震災訓練を開いた。帰宅困難者の受け入れの演習で近隣企業の社員にも支援スタッフとして参加してもらった。大規模災害の発生時には行政機能にも制約が出かねないなか、二次災害の抑止に力を入れる。

東京都中央区にある本社ビルで簡易ベッドやトイレの組み立て作業や備蓄品の配布などの手順を確認した。NIPPOなど同区に事務所がある8社から計28人を受け入れ、清水建設の社員らと合同で進めた。震災訓練は年1回実施しているが、他社の社員を支援スタッフとして受け入れるのは初めての取り組みだ。

新村達也社長は「災害はいつ起こるか分からない。訓練を通じて当事者意識をどれだけ持てるかが重要だ」と説明。参加した他社の社員に受け入れ施設の運営ノウハウを提供する。「自助・共助の取り組みを一層推進して地域の防災力向上に貢献する」と述べた。

清水建設が実施した震災訓練で支店などとの連絡に臨む新村達也社長(手前の左から2番目)ら(5日、東京都中央区)

他にも関東地方にある237カ所の工事現場と被災状況の連絡体制を確認し、地方の支店による本社支援についても訓練した。2024年度から導入したスマートフォン型の災害用無線機の有効性も確認した。清水建設のほかグループ会社も含めて2万人が参加した。

建設会社は災害が発生するとインフラや建物の早期復旧へスムーズに体制を確保することが求められる。大手では鹿島も8月に南海トラフ地震を想定した訓練を開催。生成AI(人工知能)を使ってビルの被災状況の判定を後押しするシステムも運用した。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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