設立会見に臨む新社長の鈴木貴博氏(中央)ら(8日、東京都渋谷区)

ポッカサッポロフード&ビバレッジは8日、レモンの生産に特化した農業法人を設立したと発表した。2035年には日本のシェアの3割にあたる3000トンを生産し、国内最大の生産法人を目指す。ほぼ全量を輸入に頼る構造から転換して供給を安定化させる。

新会社名は「LEMONITY(レモニティ)」(静岡市)。3日付で食品卸の西本Wismettacホールディングス、野菜生産・販売の鈴生(すずなり、静岡市)と共同で設立した。静岡県と広島県の畑で栽培し、30年に50ヘクタール、35年には100ヘクタールに広げる。

果樹の経営は初期費用が高く、収益化までの期間が複数年かかる点で参入障壁になっていた。ポッカサッポロの佐藤雅志社長は「国産レモンを要望する顧客は多いが、生産量が確保できない課題があった」と話す。現状では国産レモンは海外産より3〜4倍価格が高いという。

収穫されたレモンは6割が青果に、残りが加工用になる。ポッカサッポロが加工用として、西本Wismettacホールディングスが青果としてそれぞれ全量買い取る。ドローンの活用や収穫量の予測などスマート農業も導入する。

現状でポッカサッポロが使う国産レモンは400〜500トンほどで、使用量全体の5%程度に限られている。新法人から購入することで、3倍に水準が高まる。果汁だけでなく、レモンの皮やオイルを使った商品も展開する。

ポッカサッポロは19年に広島県でのレモン栽培を始めたほか、24年には静岡県磐田市などとレモン産地の形成に関する連携協定を結んでいた。レモニティの社長に就任する鈴木貴博氏(鈴生で社長)は「レモンを『作る』から『売る』まで、ひとつのバリューチェーンの中で展開する会社にしたい」と話した。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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