
医療系スタートアップのfcuro(フクロウ、大阪市)と大阪急性期・総合医療センター(同)は、救急医療における診断支援用のソフトウエアを開発した。患者のコンピューター断層撮影装置(CT)画像を人工知能(AI)が解析して、損傷部位などを特定する仕組み。同センターでの効果検証や臨床研究などを経て、数年内に医療機器として実用化したい考えだ。
開発したソフトウエアは画像診断AI「ERATS(イーラッツ)」だ。患者が交通事故などで救急搬送された際、CTで撮影した画像を取り込み、AIが損傷部位を推測しパソコン画面上に波形で示す。CT画像は全身で1000枚以上になることもあり、救急医が集中して診断すべき身体の部位を特定しやすくする。
従来救命医がCT画像をみながら損傷部位を特定するには5分ほどかかることがあったという。イーラッツを使うと10秒以内で画像を解析する。イーラッツのみで診断を終えることはなく、今後も救命医が目で見て画像を解析する工程は残す。26年度にも大阪急性期・総合医療センター以外の3~5の病院でも効果検証を実施したい考えだ。
フクロウは2020年、大阪急性期・総合医療センターで救急医として働く岡田直己氏が設立したスタートアップ。19年ごろからイーラッツの開発を開始し、1万人超のCT画像をAIに学習させる業務をこなしてきた。
8日に開いた記者会見で岡田氏は「6年がかりで開発した。これまで助けることができなかった患者さんも救命したい」と話した。岡田氏は今後も最高経営責任者(CEO)としてフクロウを経営しつつ、医師としての仕事も続けるという。

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