空飛ぶクルマの商用運航に向けた連携協定を交わす大阪府の吉村洋文知事㊧とソラクルの太田幸宏CEO(右から2番目)ら(10日、大阪府庁)

大阪府・市は10日、大阪・関西万博で展示する「空飛ぶクルマ」の商用化推進に向け、日本航空(JAL)と住友商事の共同出資会社「ソラクル」(東京・中央)と連携協定を締結した。離着陸場整備の調査・検討などを進め、2027年にも大阪で商用運航を始める同社の事業環境を整える。

協定では運航ネットワークの形成に必要な離着陸場の整備に向けた調査や、官民関係者と連携した制度の整備・規制緩和、関連ビジネスの展開支援、観光分野でのビジネスモデルのあり方など、事業化に向けた環境整備の検討を連携して推進することをまとめた。

同日、ソラクルも大阪での商用化計画を正式に発表。米アーチャー・アビエーション社の5人乗りの機体の使用を想定し、26年に府内で実証飛行を実施。安全審査などを経て、27年にも大阪湾周辺での遊覧飛行や二地点間飛行を開始する。

関西・瀬戸内地域の主要空港と都市を結ぶ航路なども視野に入れる。太田幸宏CEOは締結式で「短期的には大阪に来れば全国に先駆けて空飛ぶクルマに乗ることができる未来を実現し、中長期的には関西・瀬戸内海の様々な地点を結ぶ観光体験を創出する」と述べた。

空飛ぶクルマを巡っては、当初、万博での国内初の商用飛行実現を目指したが、安全審査の遅れなどが響き断念。ソラクルは、丸紅とスカイドライブ(愛知県豊田市)、ANAホールディングス(HD)の他3陣営が実施する万博会場でのデモ飛行も見送り、唯一実物大モデル機の展示にとどめていた。

吉村洋文知事は「様々課題はあるだろうが、府・市も全面的に当事者として取り組む」と話した。

(大阪・関西万博取材班)

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