化粧品メーカー「ディー・アップ」(東京)の坂井満社長が、自らのパワハラ行為により社員の女性(当時25)が自死を図り亡くなったことへの責任をとり、社長職を3カ月以内に辞任したうえで調停金1億5千万円を遺族に払うことになった。遺族らが11日の会見で明らかにした。

 遺族は会社と社長に賠償を求めて提訴したが、東京地裁が9日に「調停に代わる決定」を出し、調停金の支払いや会社側による再発防止の実施などが盛り込まれた。双方が受け入れ、訴訟は終わった。

 遺族らによると、女性は2021年4月に入社。その年の12月、許可なく取引先に直行したなどの理由で社長と面談した際、社長から「野良犬」などと言われ長時間にわたり叱責(しっせき)された。翌日も「弱い犬の方がほえる」などと言われた。

 女性は22年1月にうつ病と診断され、8月に自死を図り一命をとりとめたが、意識のない状態が続き10月に亡くなった。

 三田労働基準監督署は24年5月、社長のパワハラの影響で発症したうつ病と死亡の因果関係を認め、労災認定した。

 女性の姉は会見で「妹が亡くなってから何年もたち、今さら謝罪されても腑に落ちない気持ちもある。裁判としてはいい結果をいただけたが、生きているうちに謝ってほしかった」と語った。

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