
外食大手のサンマルクホールディングス(HD)は11日、熊本県宇城市内で農業に参入すると発表した。農業法人「サンマルクファーム」を同市内で立ち上げ、11月から主にパン向けの小麦生産を始める。原材料などの価格高騰が収益を圧迫するなか、自社調達でコストを抑えるとともに、中長期的な地政学リスクへの対応力を高める狙いがある。
サンマルクHDと宇城市は同日、熊本県庁で木村敬知事が立ち会うなか、営農に関する協定を締結した。同社が宇城市内の個人農家の土地を借り受けて、小麦の生産や必要な人材の雇用、収穫された県産農産物のPRまで実質的な運営主体として農業経営に参入する。
初年度は複数の農家から約6ヘクタールの農地を借り、事業会社の社員2人が常駐して作業にあたる。収穫など地元農家にも協力してもらう。生産量は明らかにしていないが、まず稲作の裏作として11月から小麦栽培を始め、農業のノウハウを蓄積しながら、コメや大豆の栽培も視野に業容を拡大する計画だ。
サンマルクHDの藤川祐樹社長は協定締結後の記者会見で、ウクライナ戦争での小麦価格急騰をきっかけに、2023年から協力先の自治体を探していたと明かした。藤川社長は「小麦の国内自給率は15%程度で、この社会課題の解決に向けて参入を決めた。生産性向上に取り組み持続可能な農業を目指す」と意欲を示した。
同社は「サンマルクカフェ」「鎌倉パスタ」など約870の飲食店を営業しているという。22年に京都市内の人気喫茶店の運営会社を傘下に収め、24年に牛カツ店「牛カツ京都勝牛」の運営会社を買収。本社機能の一部を26年に京都市へ移し、インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みや海外進出に向けた戦略を強化する計画だ。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。