トロール漁で漁獲された深海魚を入れたバケツを水揚げする日の出丸の関係者=静岡県沼津市戸田で2025年9月11日午後3時6分、石川宏撮影

 水深が日本一深い静岡県の駿河湾で、11日、トロール漁(底引き網漁)が解禁された。トロール漁の拠点である沼津市戸田(へだ)からは6隻のトロール船が午前3時半ごろ出港、午後3時ごろに帰港した「日の出丸」は、メヒカリやデン(シロムツ)などを水揚げしたが、悪天候の影響もあり初日としては振るわなかったという。漁期は来年5月中旬まで。

 「風があり波も高く、通常のように網が引っ張れなかった。漁獲量は去年の半分あるか、ないか。ここ数年で一番悪い」。日の出丸の大村真史(まさふみ)さん(48)は顔をしかめた。田子(西伊豆町)沖から戸田沖の水深200~300メートルの海域で操業し、漁獲量は50リットルバケツ13杯分で約300キロ。内訳はホンエビ約150キロ、アカザエビ約10キロ、メヒカリ約40キロ、カサゴ(ユメカサゴ)約40キロ、タコ約10キロ、デン約5キロなど。タカアシガニは脱皮したての1匹という。

トロール漁で漁獲されたエビや深海魚=静岡県沼津市戸田で2025年9月11日午後3時9分、石川宏撮影

 トロール漁は袋状の網をつけた3000メートル以上ある長いロープの両端を船で引き、海の底をさらうようにして魚やカニを漁獲する漁法。網を沈めるのに5分以上、船を進ませ漁獲するのに約40分、ウインチを使い引き揚げるのに約20分と、1回の漁に1時間以上かかる。海洋資源保護のため、5月中旬~9月初旬は禁漁。漁期でも1日に最大5回しか網を入れることはできない。ここ数年の戸田漁港の深海魚の水揚げ量は漁期通じて6~8トンという。【石川宏】

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