
農業用IoT機器開発のfarmo(ファーモ、宇都宮市)は、田んぼの水位を遠隔で確認できる主力製品「水位センサー」とコメ1俵(60キログラム)を、全国の農家と物々交換する取り組みを始めた。農家から集めたコメは、クラウドファンディングを通じて消費者に提供する。
一連の取り組みを「1俵プロジェクト」と名付けた。農家がファーモにコメ1俵を供給すると、ファーモは対価として水位センサー(1個2万7500円)を送る。センサーは1本の杭で固定するだけで、簡単に設置できる。スマートフォンのアプリを通じて、田んぼの水位をどこからでも確認できる。ゲリラ豪雨などで水位が異常値に達した場合はアラート機能で警告する。
消費者はクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で同プロジェクトの支援額を選択する。金額の大小に応じて送られてくるコメの量が変わる。例えば8000円のプランでは、精米したてのコメが3カ月間に月1回ずつ、農家からファーモを介して届けられる。
コメを消費者に届ける際には、生産した農家の情報が記載されたカードを同封するという。カードのQRコードを読み取ると、農家に味の感想などを直接送ることができる。ファーモはクラウドファンディングで集まった支援金を、農地で省電力・低コストで長距離通信を可能にする技術「LPWA(ローパワー・ワイドエリア)」の整備などに充てる。
ファーモは2018年にも同様の取り組みを栃木県内で実施したが、今回は全国の農家を対象にする。水位センサーをはじめ、スマート農業機器の導入にはコストがかさむ。なかでも小規模農家にとっては導入のハードルが高い。ファーモは、この取り組みを通じて「スマート農業機器の活用範囲を広げ、農家の作業負担の軽減に貢献したい」と説明している。
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