東洋製缶グループホールディングス（GHD）は日本国内の沿岸海域にみられる海藻「アマモ」の生育場所を再生する取り組みを始めた。「アマモ場再生プロジェクト」と題し、二酸化炭素（CO2）を吸収し海底に長期貯留する「ブルーカーボン」の回復や生物多様性の保全につなげる。子会社が開発した藻類増殖材を活用する。
プロジェクトの一環で子会社の東洋ガラス（東京・品川）が不動テトラと共同開発した藻類増殖材「イオンカルチャー」を使い、アマモの展示などを仙台うみの杜（もり）水族館（仙台市）で9月末まで行う。高輪ゲートウェイシティ（東京・品川）内のビジネス創造施設でも10月末まで、イオンカルチャーのアマモへの成長促進効果を検証する。
アマモの成長促進効果検証はスタートアップのイノカ（東京・文京）とともに、イオンカルチャーの有無による生育比較や成長変化の記録を通じて行う。イオンカルチャーは、海洋植物の成長を促す「二価鉄イオン」などの成分がゆっくり水に溶け出すよう成分調整したガラス製品だ。
2011年の東日本大震災の影響で沿岸地域の多くのアマモ場が流失し、10年以上たっても、水質の変化や環境条件の悪化から自然回復は進んでいないという。東洋製缶GHDは取り組みで得た知見を活用し、宮城県内の漁協や自治体との連携から沿岸部でのイオンカルチャーの実装とアマモ場の再生を目指す。全国のアマモ場にも応用する。
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