あすか製薬ホールディングス(HD)は16日、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツなどに対し、あすか株の買い増し意思に関する質問状へ回答するよう要請したと発表した。質問状の送付を含めて要請は3度目。ダルトンが発表したあすか製薬HDを非難する書簡について「不合理で株主への誠意に欠ける」と批判した。

あすか製薬HDはダルトン側からMBO(経営陣が参加する買収)による非公開化の提案を受けていると説明している。ダルトンは9日付で発表したあすか製薬HDの株主など向けの書簡で、投資先の経営者には非公開化を含むあらゆる選択肢の検討や決定を促すが、特定の選択肢の強制や誘導はしない、などと言及した。

これに対しあすか製薬HDは、前身の帝国臓器製薬に対してダルトン側がMBOによる非公開化を提案していたことを改めて説明した。提案を断ったところ当時の配当額の18倍超にあたる増配や、株式を約8%のプレミアム付きで買い取ることを要求されたとした。

他投資先を巡る事例も挙げ「ダルトン側は持ち株を処分するため、非公開化などの非通例的な取引の実施を強く迫る十分な動機があると考えるのが合理的だ」と指摘した。その上で「非公開化は取締役が決めることでダルトン側が関与することはない」との同社の主張に「実態は全く異なり、株主の誤解を招く」と批判した。

あすか製薬HDはダルトン側が同社株を約20%保有したことを受け、7月に買い増しへの対応方針を導入した。ダルトン側は8月、同社株を最大30%程度まで買い増す意思があると説明。これを受けあすか側は買い増しの目的やその後の方針などを質問し、回答を求めている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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