
千葉県は16日、土地取引価格の指標となる今年の基準地価(7月1日時点)を発表した。住宅地、商業地、工業地の3項目を含む「全用途」の平均変動率は前年比プラス3・7%と、11年連続で上昇した。都心の地価高騰が県内に波及しており、今後も上昇傾向が続く可能性がある。【柴田智弘】
■全用途
調査対象は県内59市区町村(千葉市は区別)で、全用途の平均変動率が上昇したのは35市区町、横ばいは栄町、23市町村が下落した。上昇率トップは流山市のプラス12・1%で、下落率の最大は銚子市のマイナス2・8%。県全体の1平方メートル当たりの平均価格は前年より9600円増の13万3200円だった。
地価の評価を担当した地価調査鑑定評価員の高松芳壮代表幹事は「県内の住宅需要が高く、金利が上がっても地価の上昇が続いている」と指摘。これまで地価上昇を先導してきた地域で上げ幅が縮小し、割安感のある地域で伸びているという。
一方、商業地や工業地では、建築コスト高騰などの影響で伸び幅が縮小。今後については「金利上昇が緩やかであれば、地価の上昇基調が急激に変わる可能性は低いと思われる」との認識を示した。
■住宅地
住宅地全体の平均変動率はプラス3・3%と4年連続で上昇した。59市区町村のうち32市区町が上昇し、2市町が横ばい、25市町村が下落した。平均変動率の最大は流山市のプラス12・5%で2年連続の1位。松戸市の同8・1%、白井市の同6・9%と続いた。
千葉市の上昇に影響を受けた四街道市が同5・3%、松戸市に隣接する鎌ケ谷市が同6・6%といずれも伸び率が上昇。商業施設の新規出店が相次ぐ館山市が下げ止まった。
基準値別の上昇率は、上位11位まで流山市が占めた。トップは流山市東初石3の同17・9%で、人気の高いおおたかの森地区から近隣の比較的安い地域に需要が波及していた。
■商業地
県全体の平均変動率はプラス4・8%と12年連続で上昇した。調査対象の51市区町のうち34市区町が上昇し、横ばいは6市町、11市町が下落した。上昇率の首位は船橋市の同9・5%で、下落率の最大は銚子市のマイナス2・1%だった。
1平方メートル当たりの県平均価格は前年より2万4700円増の33万3700円。市区町別の平均価格の首位は市川市で139万5000円。東京に近く交通アクセスの良い地域の平均価格が高かった。
■工業地
平均変動率はプラス8・2%と、13年連続で上昇した。調査対象の25市区町のうち22市区町が上昇し、横ばいは3市で、下落はなかった。
基準値別では習志野市茜浜3の同16・7%がトップで、千葉市美浜区新港が同16・4%、流山市森のロジスティックスパーク2が同15・3%と続いた。電子商取引の伸長で、県北西部や湾岸部を中心に大型物流施設用地の需要が高いという。
県平均価格は9万7900円で、前年より7200円増。1平方メートル当たりの平均価格は、市川市塩浜1の37万5000円が最も高かった。
◆千葉県内の地価上位3地点の価格
2025年 24年 上昇率
住宅地
①船橋市本町5の11の20 585 ― ―
②市川市八幡1の19の1 540 530 1.9
③市川市市川南3の3の6 498 462 7.8
商業地
①千葉市中央区富士見2の2の3 2780 2530 9.9
②市川市八幡2の16の6 2720 2560 6.3
③船橋市本町4の41の28 2150 1850 16.2
※価格は1平方メートル当たりで、単位は1000円。上昇率の単位は%。住宅地①の船橋市本町5の11の20は今年新たに基準地に設定されたため「-」と記載。
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