ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した吉崎達彦氏

トランプ米大統領は16日、中国企業が運営する動画共有アプリTikTok(ティックトック)の米国事業について、9月17日までとしていた米企業への売却期限を12月16日まで延長する大統領令に署名しました。TikTokの米国事業を巡って対立してきた米中両政府が、売却の枠組みで合意したことを受けた措置です。

合意内容の詳細はまだ明らかになっていません。しかし、米欧のメディアはTikTokが事業売却後も、米国で動画の表示順を決めるアルゴリズム(計算手順)に中国の技術を使い続けると相次いで報じました。

これに関し、双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストはラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」で、トランプ政権が「どんどん中国に取り込まれているのではないか」と指摘しました。

そもそも、いちばん初めにTikTokの米国事業を規制しようとしたのはトランプ第1次政権です。中国がTikTokのアルゴリズムをいじって米国の世論を操作する安全保障上のリスクが指摘されたからです。

にもかかわらず、TikTokが売却後も中国のアルゴリズムを使い続けるとすれば、中国が米国の世論を都合のいいように動かす懸念は消えません。吉崎氏はトランプ氏自身が2024年の米大統領選でTikTokを活用して当選を果たしたこともあり「敵に回せなくなった」とみています。

トランプ氏が10月末に韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて訪中するシナリオがささやかれ始めました。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はすでにトランプ氏を北京に招待したとの報道もあります。トランプ氏の訪中で米中が急接近すれば、政治の混乱が続く日本にとっては衝撃です。

吉崎氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。

「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」番組サイトはこちら
詳しい内容は「note(ノート)」でもお読みいただけます。https://note.com/cnshinsou/n/n0a5b90c99020?sub_rt=share_pw (編集委員 高橋哲史)

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