新潟県にある自衛隊の演習場で実施された共同訓練では、陸上自衛隊、アメリカ陸軍、オーストラリア陸軍が参加して、実弾射撃訓練や医療処置の訓練の状況を公開しました。

現場では、アメリカ軍が神奈川県の基地から陸路で輸送してきた野戦病院の設備を展開し、戦闘で大量の負傷者が出たという想定で、各部隊の隊員らが共同で一連の対応を確認しました。

野戦病院は、イラクやアフガニスタンの戦場で使われ、集中治療室やCTスキャンなど、本格的な医療設備を備えていて、アメリカ軍によりますと、応急処置から救命手術、入院治療までの3段階の対応、すべてを日本で実際に訓練するのは、今回が初めてだということです。

アメリカ陸軍は、有事に備えて日本に野戦病院の設備を常時、配備していて、機動力を高めるための改良も加えているということです。

部隊の司令官ジェニファー・ウィルソン中佐は「最も重要なことは、相互運用性を示し、互いの国を支援することだ。患者の情報や問題への取り組み方を学ぶことができた。私たちも、その教訓を持ち帰ることができる」と話しています。

野戦病院とは

アメリカ陸軍は有事の際、日本の各地に迅速に展開できるよう、野戦病院の設備を神奈川県の在日アメリカ陸軍の補給基地「相模総合補給廠」に常時、配備しています。

現在の野戦病院は、3年前に在日アメリカ陸軍に導入された最新式で、平時は、補給基地の倉庫でテントや入院用のベッド、医療機器や手術室などの設備を保管しています。

有事の際には、これらを数十のコンテナに積み込んで、陸路などで輸送し、前線から少し離れた地域で、およそ3日かけて組み立てる設計になっています。

野戦病院は、CTスキャンやICU=集中治療室、調剤薬局などを備え、高度な手術から入院治療など、本格的な医療処置が可能で、イラクやアフガニスタンの戦場でも展開されました。

日本に配備されている野戦病院は、機動力を高めるため、病床数をこれまでの248床から32床に減らす改良が施され、これによって、有事のさなかでもある地点から、別の地点に移動させて設営することも容易になるということです。

アメリカ軍は、これまでの日米共同訓練でも、医療処置の対応を確認してきましたが、今回、初めて改良型の野戦病院を全面的に展開させて、応急処置から患者の移送、救命手術、入院治療と、すべての対応を検証し、より実践的な内容になっているとしています。

部隊の副司令官のジャスティン・ボイド少佐は「今回の訓練の目的は、保管場所から野戦病院を引き出して設置し、すべての装備が正常に機能することを実証することだ。これにより、実戦環境でも使用可能となる。自衛隊とオーストラリア軍との各医療部隊間の相互運用性を継続的に強化したい」と話しています。

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