
【ソウル=小林恵理香】韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は米東部時間23日、国連総会の演説で北朝鮮との関係改善に取り組むと強調した。「南北間の軍事的な緊張緩和と信頼回復の道を一貫して模索していく」と述べた。朝鮮半島の平和実現へ国際社会の協力が重要だとも訴えた。
李氏は演説で南北関係について「敵対と対立の時代を終え、平和共存と共同成長の新しい時代を開かなければいけない」と話した。6月に発足した李政権は北朝鮮に強硬な立場だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権から方針を転換し、関係改善を狙う。
北朝鮮の核問題を巡っては「実用的で段階的な解決策に国際社会が知恵を結集するよう願う」と述べた。李氏は完全な核廃棄を要求するのではなく「核開発凍結、縮小、非核化」と段階を踏みながら非核化につなげる考えを示している。
李氏は北朝鮮との関係改善に取り組む一方で、国益を最優先する「実用外交」を掲げ米国や日本との関係も重視する。朝鮮半島での有事を想定した米韓の合同演習なども実施しているため、北朝鮮は「尹政権と変わっていない」と指摘する。
南北の軍事境界線付近での拡声機による放送の中断などの取り組みを例に挙げ「不必要な軍事的緊張と敵対行為の悪循環を断ち切りたい」と語った。「最も確実な平和は戦う必要がない状態だ」とも主張した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が21日に開いた最高人民会議(国会に相当)の演説で、韓国側が「吸収統一を望んでいる」として反発していた。南北統一は「一方が消滅しない限り成立し得ない」とも言明していた。
李氏は金正恩氏の発言も念頭に「韓国政府は相手の体制を尊重し、いかなる形の吸収統一も追求せず、一切の敵対行為をする意思がない」と表明した。
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