安保理は24日、AIについての首脳級の会合を開催した=国連提供

【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は24日、人工知能(AI)についての首脳級会合を開催した。国連のグテレス事務総長は「近年の紛争がAIの実験場になっている」と警告し、国際社会がAIをめぐるルール作りに動く必要性が増していると強調した。一方、米国は「過剰な規制はイノベーションを阻害する」と反対の立場を示した。

グテレス氏は「来年までに法的拘束力のある枠組みの締結を視野に、人間の関与なしに動作する自律型致死兵器システム(LAWS)の禁止を呼びかける」と表明した。「人類の運命をアルゴリズムに委ねてはならない」と述べ、武力行使など生死にかかわる決断には人間が関与する必要があると強調した。

参加国の多くはLAWS禁止といった国際的な規制や取り組みを支持する立場を示した。9月の安保理議長国を務める韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は「国際社会が結束し、責任あるAI利用の原則を守ることは不可欠だ」と話した。英国のラミー副首相も「AIが平和と安全保障の強化につながるよう、国連で努力する必要がある。団結して行動をとれば実現できると信じている」と述べた。

一方、会合に出席した米大統領府の科学技術政策局(OSTP)トップのマイケル・クラチオス氏はAIについて「国際機関による中央集権的な統制やグローバルガバナンス(多国間協調)のいかなる取り組みを拒否する」と表明した。「広範で過剰な規制はイノベーションを阻害し、むしろ危険だ」と反発した。

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