ニューヨークのウォール街=遠藤啓生撮影

【NQNニューヨーク=戸部実華】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一進一退で始まり、午前9時35分現在、前週末比29ドル28セント高の4万6276ドル57セントで推移している。追加利下げ観測は根強く、22日に付けた最高値(4万6381ドル)を上回る場面もあった。「つなぎ予算案」の成立が遅れて米連邦政府の一部が閉鎖する可能性も意識され、ダウ平均は下げる場面もある。

前週末発表の8月の米個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想の範囲内となり、年内の追加利下げ観測を変えるものではないとの見方が広がった。

前週半ばにかけて市場予想を上回る経済指標の発表を受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内残り2回の会合で利下げを続けることが難しいとの観測も浮上していた。追加利下げが改めて意識され、米金利の上昇に一服感があることも株買いにつながっている。

前週は人工知能(AI)関連銘柄など一部のハイテク株にさえない動きがみられる場面もあったなか、29日はエヌビディアやアマゾン・ドット・コムが買われている。主力ハイテク株の一角に見直し買いが入っていることも、投資家心理を支えている。

主力株への買いが一巡した後、ダウ平均は伸び悩み、下落に転じた。週内は9月の米雇用統計を含む雇用関連指標の発表に関心が高い。

米連邦議会が9月30日までに10月に始まる新会計年度も政府運営を続けるための「つなぎ予算案」を可決できなければ政府機関の一部が閉鎖され、一部の指標の発表が遅れる可能性がある。経済データとつなぎ予算案を巡る動向を見極めたい雰囲気がある。

ダウ平均の構成銘柄ではウォルト・ディズニーやセールスフォース、キャタピラー、シスコシステムズが買われている。一方、シェブロンやアップル、ボーイングは下落している。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は続伸して始まった。ゲームのエレクトロニック・アーツ(EA)が大幅高となっている。投資家グループへの身売りで株式を非公開化すると29日に発表した。買収価格にさや寄せする形で買いが入っている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。