【NQNニューヨーク=横内理恵】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比68ドル78セント高の4万6316ドル07セント(速報値)で終えた。米利下げ継続期待を手がかりとした買いが続いた。

エヌビディアなど人工知能(AI)関連株の一角への押し目買いも相場を支えた。半面、30日の会計年度末までに「つなぎ予算」が成立せず、米連邦政府が一部閉鎖する可能性が意識されており、ダウ平均は下げる場面があった。

前週末発表の8月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想と一致し、インフレ圧力が想定の範囲内と受け止められた。足元で経済活動や労働市場の底堅さを示唆する指標が目立っていたなか、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが続くとの見方が改めて強まった。

AI投資の過熱への警戒を背景に足元で軟調だったエヌビディアには買いが優勢だった。ダウ平均の構成銘柄ではないが半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーなどに見直し買いが入ったことも投資家心理を上向けた。

ダウ平均は下げる場面があった。米連邦議会が10月1日から始まる新会計年度も政府運営を続けるための予算を可決できずに政府機関の一部閉鎖を招く可能性がある。トランプ米大統領は同日午後に民主党上院トップのシューマー院内総務らと会談するが、両陣営が歩み寄るのは難しいとの見方がある。

政府機関の一部閉鎖に陥った場合でも必要不可欠な公共サービスは継続される。一方、労働省が発表する雇用統計などの経済指標の大部分の発表が遅れるとみられる。事態の進展を見極めたい投資家が多く、積極的に買いを入れにくい雰囲気があった。

ダウ平均ではウォルト・ディズニーやキャタピラー、アマゾン・ドット・コム、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が買われた。一方、シェブロンやボーイング、IBMなどが下げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比107.086ポイント高の2万2591.154(速報値)で終えた。アナリストが需要の強さを背景に目標株価を引き上げた半導体メモリーのウエスタン・デジタルやハードディスク駆動装置(HDD)のシーゲート・テクノロジーが高い。アナリストが投資判断を引き上げた半導体製造装置のラムリサーチも上げた。

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