【釜山=篠崎瑠架】石破茂首相は30日、韓国の釜山で李在明(イ・ジェミョン)大統領と会談した。北朝鮮の非核化といった安全保障上の問題や少子化などの共通課題を話し合う。日韓関係の改善基調を次期政権につなげる。
李氏が8月に来日した際に「次は韓国の地方都市で会おう」と提案し、韓国第2の都市・釜山での会談となった。首相は10月中旬にも退陣するため、最後の海外訪問になる見込みだ。
日韓両政府は2023年3月に当時の岸田文雄首相と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が互いの国を行き来する「シャトル外交」の再開を決めた。石破氏は李氏が6月に大統領に就いてから4カ月で3度目の会談となった。
首脳会談では北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が8月に「核武装化の急進的な拡大を要する」と宣言したことを受けた対応を協議する。北朝鮮の「完全な非核化」に向けた協力を申し合わせるとみられる。
少子高齢化や地方創生、防災など両国に共通する社会課題について政府間協議による連携をうたう文書も発表する予定だ。
トランプ米政権による関税措置への対応も共通課題だ。李政権は包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟を検討すると表明している。日韓はルールに基づく国際秩序や自由貿易の維持に向けて協力する。
韓国側には日本の次期政権と安定的な協力関係が築けるかに懸念がある。石破氏は退任前の会談で、日韓の協力路線を確認する狙いがある。岸田文雄前首相も退任直前の24年9月に韓国を訪れ、尹氏と会談した。
慶大の西野純也教授は「政権移行期に過度に何かを約束するのは良くないものの、日韓関係のこれまでの積み上げを確認するための相互訪問はあってもいい」と話す。トランプ米大統領が金総書記との会談に意欲を示す状況を踏まえ「日米韓で足並みを乱さないことが重要だ」と語る。

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