ブラックロックはAIインフラへの投資を加速する=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】世界最大の運用会社、米ブラックロックが米大手データセンター事業者や電力大手の買収を検討していることが明らかになった。米英メディア報道によると、買収規模は合計800億ドル(約11兆8000億円)に及ぶ可能性がある。人工知能(AI)需要を担うデジタル・エネルギーインフラへの投資を加速する。

米ブルームバーグ通信は2日夜、ブラックロック傘下のインフラ専門投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)が米データセンター事業者、アラインド・データセンターズの買収で最終合意が近いと報じた。数日中にも正式発表がある可能性があるという。

アラインドはテキサス州に本拠地を構え、米国や中南米で、開発中含め78カ所のデータセンターを運営している。オーストラリアのインフラ投資大手マッコーリー系のファンドから投資を受けている。GIPのほか、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のテクノロジー特化型投資会社MGXも買収に参画し、企業価値評価は400億ドル程度になる見通しという。

並行して英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、GIPによる米電力大手AESの買収交渉が最終段階にあると伝えた。企業価値評価は負債を含めて380億ドル程度となる見通しという。ニューヨーク証券取引所に上場するAES株は、報道が伝わった翌日の10月1日に前日比17%高に急伸した。

AESは米国内外で発電所を所有・運営しており、2月時点の発電能力は合計約32ギガ(ギガは10億)ワット。半分を再生可能エネルギー、天然ガスが3割、石炭が2割弱という電源構成となっている。FTによると、AESはマイクロソフトやメタ、アルファベットなどが保有するデータセンターに電力供給している。

ブラックロックやGIP、MGXは2024年9月、米マイクロソフトと組み、AIインフラ整備のための投資パートナーシップを形成した。25年3月には米半導体大手エヌビディアや米AI開発スタートアップxAIも参画した。アラインドやAESの買収案件はパートナーシップ発足後、事実上初の大型案件となりそうだ。

大手投資会社の間でAI関連インフラ取得・整備に巨額を投じる事例が相次いでいる。米ブラックストーンは2024年9月、カナダの公的年金と共同で、オーストラリアのデータセンター運営大手エアトランクの買収を発表した。

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