5日、投票所で開票作業にあたる選挙管理当局者ら(シリア北部アレッポ)=AP

【エルサレム=共同】シリアで5日、昨年12月のアサド政権崩壊後初の人民議会(国会)選が実施された。シャラア暫定大統領が全210議席のうち70議席を指名し、残りは各地で事前に選ばれた選挙人による間接選挙で決まる。クルド人などの少数派が多く暮らす地域では「治安が不安定」だとして延期された場所もあり、少数派側は「民主的な選挙でない」と反発している。正式な結果発表は6日以降の見通し。

シリアでは民族や宗教・宗派間の対立が深刻で、国内融和が課題。暫定政府は国内多数派のイスラム教スンニ派が主導する。暫定政府寄りの議会が誕生する可能性が高く、シャラア氏の権力基盤も拡大するとみられる。議会は立法権を持ち任期は2年半だが、延長も可能とされている。

選挙では、暫定政府の選挙管理委員会が任命した各地の組織が計約6千人の選挙人を選出。この選挙人の中から1500人超が立候補した。選管は直接投票を見送った理由について、内戦の避難民や難民が多数おり、正確な情報が把握できないためだとしている。

延期されたのは、北東部にあるクルド人勢力の実効支配地域や、少数派イスラム教ドルーズ派が多数居住する南部スワイダ県。割り当てられた議席は空席となる。スワイダ県では7月にドルーズ派が絡む武力衝突が起き、千人以上が死亡したとされる。

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