
パレスチナ自治区ガザで戦闘が始まってから7日で2年になる。空爆や食料不足のなか避難生活に耐えるガザ住民、そしてガザに捕らわれた人質を今こそ恐怖と欠乏から救い出さねばならない。
イスラエルとイスラム組織ハマスは、仲介国エジプトでの詰めの停戦協議で速やかに合意する必要がある。ガザの惨禍を一刻も早く終わらせるべきだ。
トランプ米大統領が和平への20項目の計画を9月末に示し、妥結へ圧力を強めた。両当事者をこの計画に引き込んだのは前進だ。
ハマスは人質解放に同意したが、武装解除に応じるかは明確にしていない。イスラエルは軍のガザ完全撤収を後回しにする構えだ。隔たりはあるが最大限歩み寄り、合意点を見いだすときだ。
2年に及ぶイスラエル軍の攻撃でガザでの死者は6万7千人を超え、ジェノサイド(集団虐殺)との批判が強まった。国連は8月にガザ市一帯で飢饉(ききん)が発生したと認定した。イスラエルは人道危機の責任を免れない。
この間にイスラエルの攻撃は一時レバノンやシリアにも及び、イランとの交戦にまで発展した。ハマス幹部を狙った9月のカタール空爆には国際社会で非難が渦巻いた。過剰な軍事力の行使は正当化できない。
イスラエルが孤立を深めるなか、ネタニヤフ首相はかたくなにガザ攻撃を続けた。政権維持へ連立を組む極右勢力の強硬論を受け入れ、自らの政治的延命を狙っているとの観測が絶えない。
戦闘は2年前にハマスがイスラエルを奇襲し、市民ら多数を殺害して人質をとったことが直接の端緒だ。ハマスの蛮行は許されず、人質を解放すべきだ。ガザ住民に犠牲を強いながら自らの存続に固執する時間稼ぎは言語道断だ。
双方とも、利己的な打算で戦闘を長引かせるようなことがあってはならない。日本を含む国際社会は、交渉の機運が失われないよう双方に呼びかけを続け、仲介の努力を支える必要がある。
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