ポリマーケットでは政治や試合などの結果を予想して取引できる=AP

【ニューヨーク=竹内弘文】米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社、インターコンチネンタル取引所(ICE)は7日、米賭けサイトのポリマーケットに最大20億ドル(約3000億円)を出資し、資本提携すると発表した。伝統的な金融資産のトレーディングに加え、政治イベントや試合の予想といった領域を取り込む。

ポリマーケットは2020年創業で、暗号資産(仮想通貨)を用い、選挙やスポーツなど幅広いトピックについて結果を予想して賭けられる仕組みをもつ。24年の米大統領選でトランプ大統領の勝利をほぼ正確に予測していたことで一気に注目度が上昇した。

ポリマーケットで扱う予想は、政治情勢や金融政策などマクロ経済に影響するものもあり、金融市場の参加者の関心が高い。提携によりICEはポリマーケットの取引情報を投資家に販売する。

ICEとポリマーケットは金融資産をブロックチェーン上で取引する「トークン化」推進でも協力する。

ポリマーケットのような賭けサイトは通常の賭博と区別して「予測市場」と呼ばれ、先物市場のように結果予想を売買する。ポリマーケット未登録の金融派生商品(デリバティブ)トレーディングを提供したとして米商品先物取引委員会(CFTC)から摘発され、22年に和解の条件として米国居住者が取引できないようにした。

トランプ政権の発足により規制環境が一変した。ポリマーケットは7月にCFTCの認可を受けている取引所と清算機関を買収した。8月にはトランプ氏長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏を顧問に迎え、ジュニア氏が所属する米投資会社1789キャピタルからの出資も発表した。

今回のICEとの資本提携についてポリマーケットの創業者兼最高経営責任者(CEO)のシェーン・コプラン氏は声明で「予測市場を金融の主流に導く重要な一歩だ」と述べた。

予測市場は政治や経済にまつわる予想だけでなく、「メジャーリーグのワールドシリーズの勝者は?」「テイラー・スイフトさんの新アルバム収録曲はすべてビルボード上位に入るか?」といった身近なテーマも取り扱い、人気を博している。

ポリマーケットと競合する米カルシはCFTCを相手取った法廷闘争の末、24年の大統領選直前に米国で大統領選を対象にする取引を合法とする司法判断を勝ち取った。5月、CFTCは控訴を断念し、米国内での取引を事実上容認する姿勢に転じた。

ICE以外にも既存の金融大手が予測市場に乗り出している。デリバティブ取引に強い米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループは8月、スポーツ賭博のファンデュエルと組み、スポーツ試合結果や株価指数、経済指標などを取り扱う予測市場を立ち上げると発表した。

予測市場の取引と賭博の線引きが曖昧とする指摘も根強い。報道によるとポリマーケットはフランスの賭博規制当局から調査を受けたほか、シンガポールのようにサイトへのアクセス自体を遮断する国もある。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。