米東部マサチューセッツ州のハーバード大キャンパスを歩く学生=ロイター

【ニューヨーク=西邨紘子】トランプ米政権による2025年の留学生のビザ(査証)取り消しが6000件に上ることが分かった。18日、米国務省の関係者が米メディアに明らかにした。違法行為や滞在期間の超過などが主な理由で日本人学生も対象となったようだ。「テロ支援」を理由とする取り消しも200〜300件程度あるという。

国務省関係者によると、取り消しの3分の2に当たる約4000件は暴行や窃盗、飲酒運転など「違法行為」が理由だった。学生ビザを取り消された学生の国籍など詳細は明らかにしていない。

日本の留学支援団体によると、日本人では過去の自動車の速度違反などを理由にビザが取り消された事例が報告されたという。従来はこうした行為でビザが取り消されることは無かったとされる。

テロ活動への関与など「テロ支援」を理由としたビザ取り消しは、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対する抗議活動の参加者も含まれるとみられる。

トランプ米大統領は強硬な移民対策を推し進めている。従来、米国が幅広く受け入れてきた留学生や外国人研究者を反ユダヤ活動や先端技術へのスパイ活動への懸念などを理由に規制を強化している。

米移民局は4月、学生ビザの申請者についてソーシャルメディア(SNS)への投稿を審査の対象とする方針を発表した。米国務省はこの規制に対応するため、5月末に学生ビザの新規面接予約の受付を一時的に停止すると発表した。

トランプ政権は研究助成金を巡り対立するハーバード大学に対し、留学生受け入れ資格の剝奪を通達した。ハーバード大はこれを不当とし、トランプ政権を提訴した。

学生ビザを巡る混乱で米国への留学生の数は減る可能性が高い。業界団体の国際教育者協会(NAFSA)は7月末、25年9月の新学期に米国の大学などに入学する留学生の数が前年比15%程度減少する見通しと発表した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。