
【パリ=北松円香】フランスのマクロン大統領は10日、首相を6日に辞任したルコルニュ氏を首相に再指名した。分裂した議会をまとめられないとして辞任した同氏の再登板は野党の左派や極右の反発を呼ぶこと必至だ。仏政治の混乱の出口は見当たらず、マクロン氏が目指す財政再建は難航しそうだ。
ルコルニュ氏はX(旧ツイッター)で「(2026年度)予算の年内成立に全力を尽くすという大統領から託された任務を引き受ける」と説明した。ここ数日の各政党との協議で浮上した議題は「全て議会で議論する」と述べ、左派が要求する年金改革見直しの検討に含みを持たせた。
仏国民議会(下院)は中道の与党連合と左派、極右の三つどもえで、与党が議会の主導権を握れなくなっている。バルニエ元首相は24年12月に、バイル前首相も25年9月に議会の信任を得られずに辞任した。
9月上旬に首相に就任したルコルニュ氏も予算成立の見通しが立たず、組閣翌日の10月6日に辞任するという前代未聞の状況に陥った。大統領がいったん辞任を受理した首相を4日後に再指名するのも異例の事態で、仏内政の混迷を象徴する。
マクロン氏は10日、与野党関係者を大統領府に招いた。首相指名や議会運営、左派が要求する年金改革の見直しを協議したとみられる。議会解散を要求する仏極右の国民連合(RN)と急進左派「不服従のフランス(LFI)」は呼ばれなかった。
左派と組めば下院の過半を得て新たな内閣不信任決議を回避できるため、マクロン氏が左派首相の指名や年金改革見直しの要求を受け入れるかどうかが注目されていた。今回の首相人事でマクロン氏が左派に大幅な譲歩はしないことが明らかになった。
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