ハマスから解放されたマタン・アングレストさん㊥(13日、イスラエル中部テルアビブ)=ロイター

【エルサレム=共同】イスラエルとイスラム組織ハマスとの間で、和平合意に基づく人質らの身柄交換が行われた。イスラエルメディアによると、人質は約2年間、パレスチナ自治区ガザの地下トンネルや避難テントで拘束された。イスラエル軍が攻勢を強めると、ハマス側から腹いせのように暴行された人質もいたとされる。約2千人が釈放されたパレスチナ側でも、イスラエル当局による暴力を訴える声があった。

「拘束中、気絶するまで殴られたようだ」。人質の母親アナト・アングレストさんは息子マタンさん(22)の解放後、地元メディアに明らかにした。イスラエル軍の空爆により、マタンさんが拘束されていた地下トンネルの壁が崩壊したこともあったという。

避難テント内で拘束されていた人質もいた。13日に解放された20人の中には、長い拘束生活で目が光に慣れないためか、サングラスをかけた男性や、拘束前の写真と比べ、極度にやせ細った男性もいた。

一方、イスラエルは人質解放の見返りで、拘束していた約2千人のパレスチナ人を釈放した。ヨルダン川西岸の自治区ラマラやガザでは家族らが到着を待った。大型バスが釈放された男性らを乗せて到着すると、周辺は多数の住民であふれた。

電話取材に応じた西岸ベツレヘムのムハンマド・ハティブさん(53)も13日に釈放された。約20年前に拘束され、9歳から8カ月だった子ども4人は父親が不在のまま育った。ハティブさんは「イスラエル当局者に殴られ、罵倒された。人間として扱われなかった」と強調した。

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