軍が権力を掌握した発表したマダガスカルで大統領府へ向かう武装勢力(14日、マダガスカル)=AP

【ナイロビ=共同】アフリカの島国マダガスカルのラジョエリナ大統領は13日、オンラインで国民向けに演説し「命を守るため安全な場所に移動した」と述べた。居場所は明らかにしなかった。軍幹部は14日、「軍が権力を掌握した」と主張した。ロイター通信が伝えた。クーデターが起きている可能性がある。

軍幹部は記者団に対し、民政への「最大2年の移行期間を設け、新憲法制定や選挙を実施する」と表明した。

9月下旬から続く反政府デモに同調した軍の一部と大統領の間で権力争いが生じていた。2009年にラジョエリナ氏を支援した軍精鋭部隊の兵士がデモに参加する動きが見られた。14日には警察もデモ隊に連帯を示したと報じられた。

欧米メディアによると、ラジョエリナ氏はフランス軍の支援を受け12日に出国したとされる。辞任を拒否し、野党指導者は「下院で弾劾手続きに着手する」と表明。ラジョエリナ氏は14日、対抗して下院解散の大統領令を出したが、下院は同日、弾劾決議を可決した。

ラジョエリナ氏は09年に軍の支持を得て、選挙を経ずに暫定大統領に就任。その後に一時、権力の座を離れたが、18年の選挙で勝利して正式に大統領となった。

マダガスカルでは今年9月下旬、慢性的な停電や断水に反発する若者主導のデモ隊と治安部隊が衝突するなどし、少なくとも22人が死亡、100人以上が負傷した。

ラジョエリナ氏は内閣解任を表明して事態沈静化を図ったが、10月に入っても抗議活動は続いた。

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