イスラエル側から返還され、ナセル病院で横たえられるパレスチナ人の遺体(15日、ガザ南部ハンユニス)=AP

【エルサレム=時事】中東の衛星テレビ局アルジャズィーラは15日、パレスチナ自治区ガザの和平合意に基づいてイスラエルから引き渡されたパレスチナ人の遺体の多くに、拷問の痕が残っていると報じた。ガザの病院で遺体収容に携わる関係者の話として伝えた。

  • 【関連記事】かりそめの「中東和平」、トランプ氏礼賛の舞台裏は? あす午後6時生配信

ガザ保健当局は、15日までに計90人の遺体が返還されたと公表。家族の元へ返すため、遺体の調査や準備を行っていると明らかにした。イスラエルによる物資搬入規制の影響でDNA型鑑定はできず、家族による人定が行えるよう32体の画像を公開した。

これらの遺体は25〜70歳とみられ、ガザの基幹病院であるナセル病院の法医学チームは、遺体を調べた結果、身体的暴行を示唆する痕があると説明した。中には足かせを付けられたり、首にロープを巻き付けられたりした状態で搬送されてきた遺体もあったという。

担当メンバーのサメフ・ハマド氏は「拷問のほか、処刑の可能性を示唆するものがある」と指摘。遺体は赤十字国際委員会(ICRC)を通じて引き渡されたが、ICRCはこのうち3人しか名前を把握していなかったと語った。

女性ラスミヤ・クデイフさん(52)は15日、45人の遺体が到着したナセル病院の前にいた。息子は2023年10月のイスラム組織ハマスによる奇襲の日に突如失踪。その後、イスラエル軍の攻撃で死亡したと聞かされた。「(今回返還された)遺体の中に含まれていれば良いのだが」と息子の帰りを願った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。